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凪いだ海に落とした魔法は
【その他 官能小説】

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凪いだ海に落とした魔法は 1話-10

――ぶっちゃけ、面倒なんだよね、責めるのって。

セックスを覚えたての頃は、産まれて初めて筆記用具を手にした発展途上国の子供のように、飽くこともなく学び、楽しむこともできた。自分の指で女性に快楽を与えることが悦びであり、舌で一際感度のいい部位を探し当てたときなどは、男としての自尊心を大いにくすぐられたものだ。
常ならば、その得難い喜悦が薄れることなどないだろう。少し性行為に慣れたからと言って、精気漲る十代男子の無尽蔵な性欲が尽きるはずもない。毎晩のように肉欲を満たしても、朝がくるたびに空になるのが健常な青少年の性なのだ。しかし、

――自分で求める分には夢中になれたんだけどなあ。

彼はそんなことを胸の内で呟いて、苦笑した。
沢崎拓也は、どう控え目に見ても美少年の枠内から逸脱することのない容貌を有していた。厳しさと玲瓏さを兼ね揃えた端整な顔立ちは、中性的な色合いを持ちながらも男らしさを捨ててはいない。意志の強さを感じさせる柳眉に、猟犬のような鋭さを湛えたまなこ。美姫のように精緻な鼻梁に、真一文字に伸びた唇。男女の相反する要素を絶妙の配合比率で組み合わせた美貌を持ち合わせた少年がそこにいた。
中学に上がった頃には、自分の容姿はどうも普通でないらしいと自覚していた。背丈にも恵まれていたこともあり、まだランドセルを降ろしたばかりの頃から、上級生の女子にちやほやされることが多かった。学年が上がって成長するにつれ、自分を甘やかそうとする女の幅は広がっていった。三年生になる頃には、既に沢崎は女という生き物を一括りにして考えるようになっていた。同級生の女子も後輩の女子も、あるいは、大学を出たばかりの女教師でさえも、女であるなら扱い方は変わらないのだと彼は悟っていた。
有り体に言って、沢崎拓也は、花に群がる蜜蜂のように寄ってくる女たちに倦んでいるのだった。
求められることに慣れ過ぎて、求めることを忘れていた。
否。心の底から女を求めたことが、一度でもあっただろうか。思えば、自分から特定の異性との交際を望んだことは一度もなかった。

――こんな奴初めて見た、ていうような女。何処かにいないもんかね。

「んっ、ねえ、そろそろ……」
「うん?」

首筋にたっぷりと唾液を乗せた舌を這わせていた女が、物欲しげに耳元で囁いた。沢崎はそれに答えるように顔を向け、差し出された舌を口に含んで吸ったあと、「ああ、体位変えようか」と提案した。
横着しそうな気持ちを封じ込め、女の背後へと回る。

――結局こうなるのか。上で好き勝手に腰振ってイッてくれりゃあいいのに。

「あんっ……。 嘘っ…? 後ろからするの?」
「嫌なら正常位でもいいですけどね」
「ん、別にいいけど。拓也くんがそうしたいなら」
「なら遠慮なく」

責めて欲しいのはそっちのほうだろ。そう内心で毒づいて、沢崎は犬のように四つん這いになった女の臀部に手を添え、陰茎を濡れそぼった膣内へと挿入させた。押し付ける肉と愛液の絡み付く感触がじっとりとねぶるように彼のペニスを包み込む。

「ああっ……っ。入ってるっ、はいってるよぉ…っ」
「うん。それは見りゃ分かるんだけどさ。手、ベッドから離したほうがいいね。尻がもっと上がるから。"もっといい所"に当たるようになる」
「んっ……これで、いい?」
「上出来、上出来」

主導権が逆転していることも、女は最早気にならないらしい。羞恥心もなく雪丘のような臀部を突き上げ、自分から腰を動かそうとする。しかし、沢崎はくびれの下をしっかりと掴み、女の下半身を固定した。


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