ピリオド 終編-19
「先ず、こっちがアーちゃんね。それからレイちゃんにユッコちゃん!」
「…こんにちは」
こっちの挨拶に、亜紀の友達は笑顔を返してくれた。
「今日はね、皆んなで遊ぼうと思ってさ」
亜紀は、友達をオレの傍に座らせた。
「ジュース持って来るから!」
それから、亜紀とオレ、それに友達を入れた5人によるトランプ・ゲームが始まった。
「やったァ!1番だ」
久しぶりに大人数で遊んだことで、オレは非常に興奮してたのだろう。
「グッ!ケホッ、ケホッ!」
突然、激しい発作に襲われた。
「和哉!和哉!大丈夫!?」
「ケホッ、ケホッ!…お、お姉ちゃん…」
「大丈夫よ、すぐよくなるから」
亜紀はオレを寝かせて、吸入用マスクを口にあててくれた。
「ゆっくりと…深呼吸して」
深い呼吸を何度か続けるうちに、咳き込みは徐々に治まった。
「ごめんねえ、また遊びに来てよ」
玄関口の方から、友達を送り出す亜紀の声が聞こえた。
「どう?和哉、落ち着いた」
「ごめんなさい、お姉ちゃん」
自分のせいで、亜紀は友達を返さざるをえなかった。
オレは子供心に、いたたまれない気持ちになった。
でも亜紀は、首を大きく振ってにっこりと笑っている。
「心配ないよ。今度は、もっとたくさん連れて来るから」
屈託のない笑顔。オレは何故だか泣いていた。
「和哉…」
亜紀の両腕が、オレを強く抱きしめた。
「大丈夫。ずっと一緒だからね」
「お姉ちゃん…」
「ずーっと一緒よ」
「いつまで寝てんのッ!」
強い揺さぶりと怒声が、オレを夢から引き戻す。
「えっ?」
「もう10時よ。いい加減起きなさい」
「ああ…」
ずいぶん、リアルな夢だったな。
「どうしたの?頬に涙の跡があるけど」
触ると、頬が濡れていた。