**誰も彼もちんぷんかんぷん**-1
私は甘いものが大好きです。
突然、何を言い出すんだと怒られても好きなものは好きなんだから、仕方ないです。
「優ちゃん!!コレが私が言ってた、あったかくて、つめたくて、甘いのだよ!!」
目の前に置かれたお皿の上には、女の子の好きな可愛くて甘くてキラキラしたスイーツがとろけそうにかざってある。
あったかいワッフルの上に溶け出しているバニラアイス。その上にはキラキラの元凶ともいえるハニーシロップと色鮮やかなイチゴ。
「あぁ〜、この見た目の可愛さと味の甘さ!!もう、どこまで私を虜にすれば気が済むのですか?!」
今日は何事もなく授業が終わり、駅前に新しく出来たカフェにやってきたのです。
最近ゆっくり優ちゃんとお話できなかったから楽しみです。
「日和が言ってたのはワッフルとアイスのことね。
いきなりあったかくて、つめたくて、甘いの食べに行こうとか言い出すからとうとう頭がパンクしたのかと思った。」
私の心優しき友人よ・・。
たまには心配してくれ・・・。
「でもこれおいしいでしょ?優ちゃんも好きでしょ?」
「私、知覚過敏だからアイスいらない」
うん・・。女子高生の口から知覚過敏って。
痛みよりも甘いものに目がくれるものじゃないの?
「それより、この前どこでサボってたの?昨日も授業終わったらすぐにどっかいっちゃたし何か私に隠してない?」
えっ?あ・・・・
えーと・・・優ちゃんに何て言おう・・。
まさか知らない人に閉じ込められて襲われそうになってましたなんて言えない。
そんなこと聞いたら優ちゃん小島さん家に殴りこみそう・・。
「片・・片桐先輩に・・・」
「おっ!!何か進展でもあったの?!」
やばい!!何か言わなきゃと思って口を開いたのはいいけどよりによって片桐先輩の名前を口に出してしまった!!!
「えっと・・。その・・」
何も用意してない!!どうしよう!!
「日和ちゃんに勉強教えてほしいって言われたから、昨日は僕の家で一緒に勉強してたんだよね?」
はい・・?
「あ、片桐先輩。こんにちは」
「奇遇だね。やっぱり女の子ってこういうお店好きなんだね。」
「どどどどどうして、片カタカタ片桐先輩がここに・・?」
「たまたま通りかかったら、日和ちゃんが見えたから。僕の名前が聞こえたから声かけづらくて・・。」
ぐはッ!!やっぱりかっこいいな!!!困ったように笑わないでください!!
あれ、前にもこんなことがあったなぁ。
「そうだったんですかー。私、今日塾だったんだ!!
先輩、甘いもの嫌いじゃなかったらこれどうぞ。
まだ手つけてないんで。それでは!!」
「えっ?!あっちょっと優ちゃん!!」
そして彼女は風のように去っていった・・。
気使わせちゃったかな。優ちゃん塾なんて行ってないじゃん。行かなくても学年1位のくせに。