雨の半休日-6
そのまま、アニキと睨み合いになった。
目が、アニキのおっきくなってるアレに向きそうなのを、こらえながら睨む。
両肩に置かれたアニキの手が熱い。
ざぁざぁざぁ、シャワーが二人の間を隔てる。
湯気のむこう、アニキの瞳によぎるモノは…?
まるで、何かを言おうとして、逡巡しているみたい。
それを聞くのは、ちょっと怖い。
…だけど、強引にエッチに持ち込まれなくて、本当に良かった。
それだけは安心できた。
無理矢理なんて、絶対嫌。
…ううん、違う、アニキにとっては遊びなのかも、っていう恐怖があるから、嫌なんだ。
それに、自分のキモチがまだ不安定だから…。
今まであたしは、本気で好きになった人なんていなかった。
まだお子ちゃまだって、よく結衣にもからかわれてる。
だけど、さすがにコレが恋じゃないなんてコト、分かるよ?
でも、じゃあ、このきゅんとする気持ちは何?
あたしって…すごくエッチな女みたいじゃない。
愛が無いセックス、ってヤツでしょ、このままじゃ…。
そんな関係、一応あたしは、マジメに生きてきたつもり、簡単には認められないよ…。
「はぁぁ…」
アニキが、おっきなため息を吐いた。
なによ、ため息なんて…。
「いいか、亜紀子、」
決心したように、アニキが口を開く。
「無理矢理なんて、しねぇよ。
お前があんまり…なんつーか、頑なだから、からかっただけ。
ずっとオレを避けてんのは分かってたし…」
…そんな言い方しないでよ、あたしが悪いみたいじゃない…。
怒鳴ったのも、あたしのせいだって言うの?
「でも…
一応、この数ヵ月、色々考えたんだ。
すげー反省したし…親にも悪いことしたな…って。
亜紀子、オレの気持ちはな…」
両肩への力が弱まった。
やっぱり、あんなこと、しなきゃよかった。
きっとお互いそう思ってる…