**鯉と恋**-3
「日和ちゃんに夢中になった晴輝は部活もやめて、彼女をモデルにしたキャラクターと擬似恋愛が出来るゲームにはまって家らか一歩も出なくなり、グッズも集めるようになったんだ。」
「うそ・・。」
ちょっとー小島さんがそんな話信じるわけないでしょ。
片桐先輩の嘘つくならもっとましな・・
「そうだったんだ・・・。」
信じちゃったぁぁぁぁあ!!!
嘘?ちょっ・・小島さん?
こんな話があるわけないじゃん!!
どう考えたっておかしいでしょ!!
「そうなんだ、小島さん。俺、あのときから日和のことしか考えられないんだ。小島さんにとってはそうじゃないと思うけど、俺にとっては大事な子なんだ。
だからもう、二度とこんなことしないで。」
「ご・・ごめんなさい・・。」
それから、私たちは豪邸小島家をあとにした。
すかっり暗くなってしまったので二人に送ってもらうことにした。
帰り道がわからないし・・。
あれから小島さんはたくさん泣いて、たくさん謝ってくれた。
本当にすごく怖かったし、絶対に許せないって思ってたけど心から謝ってくれて、もうしないって約束してくれた。
「ところで。片桐先輩はなんであんな嘘をついたんですか?!小島さんが信じてくれたからよかったけど、普通そんなこと誰も信じませんよ。」
「だってあれが事実だもの。嘘のつきようがないじゃないか。ねぇ由樹くん?」
「そうそう、事実。」
絶対楽しんでるよ、この人。
瀬戸先輩は馬鹿だからいいとして、片桐先輩は確信犯だ。だって私を見下ろす笑顔が真っ黒だもの。
そんなに私をいじめて楽しいか。
「また変な噂とかされなきゃいいんですけど・・。」
「大丈夫だよ。小島さん友達いないから広まることないって。それに他校だし。」
さらっとひどいこと言ったよ?
あなた仮にも同級生でしょ?本当に腹黒いなぁ・・。
私の恋心を返せ!!あっ今なら小島さんの気持ち少しわかるかも。
「じゃあ、俺はこっちだから。」
「じゃあな、日和さんは僕が責任を持ってご自宅まで
お送りいたします!!」
「ちんちくりんの安否なんて心配してない。」
「あっ!!片桐先輩まで、そんな言い方!!」
全く何なの?!みんなして私のことちんちくりんって・・。
何だよ、ちんちくりんって。そりゃ小さいよ、悪いか。
「さぁ日和、帰ろう。」
そう言って、手を差し出してきた先輩がやけに、かっこよく見えたのは多分、目の錯覚だ。
つづく