**鯉と恋**-2
「とにかく、倉庫にいた日和ちゃんを襲うように男を雇ったのはお前だな。」
「だって、この女のせいじゃない!!瀬戸君がこんなんになったのは!」
うわ、簡単に認めちゃったよこの人。
しかも気持ちいいくらい予想通りの理由だな。
でも私を倉庫に閉じ込めた人はキャバ嬢みたいなギラギラな人だったような・・。
「私は中学の頃から瀬戸君が好きだったの。私みたいな地味な人間にも平等に接してくれて、挨拶もしてくれて。憧れだったの。好きで好きで、いつも見てたわ。」
「それでストーカーはやりすぎだろ。」
「でも瀬戸君は変わった!」
「無視か、おい。」
「私の知らないうちに、どんどん変わっていった。」
そういって泣き出す小島さん。彼女が例のあの女。
先輩たちと同じ中学で瀬戸先輩のことが好きだったらしい。
そして好きすぎてストーカーになったらしい。
そして瀬戸先輩は小島さんにストーキングされていたことをさっきまで、知らなかったらしい。
どこまでおめでたい人なんだ。
「瀬戸君は3年生になってから、ほとんど家から出てこなくなった。部活もまだ最後の総体が終わってないのに退部しちゃって、いつも学校終わったら真っ直ぐ家に帰って。最初は家庭で何かあったのかと思ったけど、そんな様子もなくて・・。」
「どうすれば、家庭にそんな様子がないことがわかるんだよ。」
「ある日、見ちゃったんです。」
「また無視かよ。」
「瀬戸君の部屋の盗聴器の様子がおかしくて、点検に行ったとき・・。」
「ちょっとストーップ!!!!!えッ?!瀬戸先輩の部屋に盗聴器??点検って、さも当たり前のごとく言ってるけどおかしくない?!」
「瀬戸君の部屋中に・・・」
「え?スルー?片桐先輩だけでなく私も無視?」
「あなたのポスターが隙間なくはられていたわ」
・・・・・・・・・・。
え?私、ポスターなんて作ったっけ?
「それは違うよ。あれはルナタンだよ。」
またこの人は・・。ほら、小島さん目が点だよ。
ようやく久しぶりにしゃべったと思ったら、これですか。
「ルナタンってのは日和に前世でイチゴモモ「んだあぁぁぁぁぁあ!!」
「わっ私が瀬戸先輩と知り合ったのは高校に入学してからですから!!中学校の先輩に何があったのかは知りませんが、私は関係ありませんから!!」
「なに言ってるんだよ、日和!!日和は・・ヒヨタンは俺の「だあぁぁぁぁぁー!!!」
もう何なの?!この人何なの?!!
馬鹿なの?死ぬの?
せっかく原因が明らかになりかけてるのに、余計なことを言ってまたこの場を混乱させたいのか?!!!
「じゃあ、瀬戸君の部屋のポスターはあなたじゃないの?」
そうそう!!そこ!!一番肝心なのはそこ!
その誤解をとけば小島さんも勘違いに気づいて
一件落ちゃ・・
「いや、晴輝の部屋のポスターは彼女だ。」
えっ?はっ?
なに言ちゃってるの?
馬鹿なの?死ぬの?(2人目)
「晴輝は日和ちゃんの大ファンなんだ。
こう見えても彼女は芸能人で売れないアイドルをやっている。」
売れないって何だ、売れないって。