華詞―ハナコトバ―1の花-4
よすが…。
心の中で呟いてみる。
名前なんて只自分を自分だと認識するための呪文だって思ってた。
でも誰かに呼ばれるだけでこんなにもくすぐったくて、嬉しいなんて。
それがわかったのは、きっとあなたに出会ったからだと思うんだよ。
だから私は私の名前が大好きなの。
だから私はあなたの名前が大好きなんだよ。
ふじさわ よすが
しらいし ゆき
今日、私は白石幸から藤沢幸になる。
名前が読みづらい夫婦だから、これからも色んな人に間違われるかもしれない。
でも良いよ。
私が、あなたがちゃんと呼んでくれるなら。
この読みづらい呪文も、幸せな魔法に思えるの。
おわり。