歩く道-エピローグ-1
「明希ちゃん!」
病院から喫茶店へ帰ると、湯来が出迎えるなり、明希を思い切り抱きしめた。
「えー、ごめんなさい」
「もうっ 怪我するなんて! 女の子なのよ!? 解ってる!?」
思い切り怒ると更に強く明希を抱き締める。折れた腕はちゃんと避けられてるから、痛みはないのだけど。
「う、はい」
「あと、約束は約束! こっちに帰ってきなさい」
「あー……やっぱり?」
言われると思ってたのか、明希は苦笑いで答えた。
「当たり前でしょ! 約束! そんな腕で一人暮らしなんて無理よ。今日からね!」
「えっ いや、それは無理じゃ……着替えも無いし……」
結構無茶を言われて、流石に抵抗するが、湯来は全く引き下がらない。
「着替えはカイキくんと取りに行ってきなさい。明日、引っ越しだからね! 車もお客さんに借りたから、午前中に済ませるわよ」
「えと……ハイ」
ああ、もう抵抗しても無駄だなと感じて、明希は湯来の言葉を素直に受け入れた。
「素直でよろしい。取り敢えず、ご飯準備してあげるから食べたら、荷物取りに行ってきなさい」
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店の奥のテーブル席にカイキと一緒に座った明希は参ったなぁと溜め息を吐く。