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とある街のとあるモノガタリ
【純愛 恋愛小説】

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再会-1

 頭がクラクラする。気持ちも悪い。ベッドを起こし、座る明希は頭を抱えていた。



 明希は個室のベッドの上で目を覚ました。暫くぼんやりしていると、部屋の外で待っていたのだろう兄の腹心である高城がノックして入室した。



『目が覚めましたか? お嬢』



 そう言って高城は医者を呼びに行った。



 それから医者から折られた左腕と注射されたクスリのことを説明された。腕は全治一ヶ月。クスリの方は量が少量だったから異常なし。しばらく、ここで安静にしていれば良いとのことだった。



 それからは、ぼんやりと外を見て、ジッと座っていた。



 どれくらい時間が経ったのだろうか、ドアをノックする音が聞こえた。



「アキ」

「…………兄さん」



 部屋に入ってきた慎悟に、明希は声をくぐもらせる。



「アルマの件は片付いたよ。手を引かせた」

「カイキくんは……? あそこに居たでしょ。声がした」



 名前を呼ばれた気がした。朦朧とする中、ずっと、声が聞こえていたのだ。



「大丈夫。無事だよ。彼はあの会社の息子だからね。取り敢えず、彼は組預かりになる」

「なっ、なんで!」



 兄の話を聞くなり、明希はベッドから降りると慎悟に詰め寄る。



「彼の父親が約束を守るための保険だよ。彼をどうこうするつもりはないよ」

「どうして! もし、守らなかったら……っ」

「アキ。……彼は今まで通りでいい。ただ、もし守られなかったとしても、彼を傷付けたりしないよ」

「本当に?」



 それでもまだ信じきれないが、当事者である兄が言うのなら信じざるをえない。



「約束するよ。絶対に違えない。だから、安心して。もうアキを傷付けることはしないよ」



 真摯に自分を見る目はきっと偽りではないと明希も思える。でも、それでもまだ不安は拭いきれない。






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