再会-3
「…………はじめて、だよね」
「何が?」
目を丸めた明希がカイキの顔を覗き込む。
「明希って、名前で呼んでくれたの」
そう言って、明希が嬉しそうに笑うとカイキは一歩退る。触れていた手を離し、顔を背けた。
「ごめん」
「?」
「その怪我。俺のせいだ……。俺の父親がしたことだから……っ」
その腕も顔の痣も。そう言うと明希は小さく声を漏らして笑った。
「違うよ。これはあたしがしくじっただけだよ。どっちかと言えば、この程度で済んで良かったかもね」
笑って済ませられることなのだろうか?
明希の顔は懸念も何もない。もう終わったんだと言わんばかりにサッパリ笑っている。
それでもカイキはどうしても納得出来ない。
「……それだけじゃない。明希を侮辱した」
「へ???」
何が? と明希は首を傾げる。
「…………明希が助けてくれた夜……」
『そうやって色んな男、連れ込んでるんだろ』
そうじゃないって今なら解るのに。
「あ、ああ。気にしなくていいよ? 見てくれもこうだから、よくあることだし」
思い出した明希はそう言いながらキュッと右手を握りしめる。よくあっても慣れることなんてないんだろうから。