亀裂-2
「――!」
受け取った写真には明希の姿。ただ、その姿が尋常ではない。目隠しをされ、後ろ手に拘束された姿。肌の露出している所に痛々しい赤い痣が無数。
「ここに来る直前のものだ。彼女には昨日の晩に来てもらった。既に腕一本は折れているよ」
父親は平然とそう言ってのける。カイキは写真を持つ手を震わせ、父親を睨み付ける。
「アイツは関係ないっ」
「そうでもないさ。お前とは十分に顔を合わせているだろう。お前はすぐにほだされるからな」
ただそれだけの理由で、明希を拉致監禁し、暴行したのか……?
そこまでするのか、と。
「どうすべきか、よく考えろ。だが、あまり時間はないぞ。彼女を見張っている輩の中には冷徹なヤツもいる。のんびりしてるとこの程度では済まん。その内犯されるぞ」
玄関でそれだけ言うと父親は部屋から出ていった。
「――くそっ!!」
カイキは力一杯壁を殴り付けた。誰かを巻き込むためにここに来たんじゃない。なのに……。あの男は簡単に人を切り捨てる。その気になれば、殺人だって犯すだろう。
……助けなきゃ。これ以上傷付ける前に。