触れるココロ-2
「暇なら遊びに行く? 丁度学校も終わったし、朝まで行けるよ?」
「…………」
「ね? 行こうよ? それとも彼女待ち?」
カイキのコートの袖を掴み、一人の女は愛らしく笑って見せる。もう一人は逆の腕に絡み付いてくる。面倒臭そうに表情を歪め、鼻につく香水と化粧の匂いを我慢しながら怪訝に呟く。あからさまな不快感を見せていた。
「……………アキ」
「え?」
「シノヅカアキはもう居ないのか?」
「!」
明希の名前を聞くと二人はカイキからバッと離れ、慌てて顔を見合わせる。
「あ、明希ちゃんっ? 明希ちゃんならもうすぐ来るよっ いつも最後まで残ってるしっ じゃ!」
足早に去っていく二人にカイキは不思議そうな顔をした。
「…………?」
まあどうでもいいか、と思い門の中を覗くと漸く現れた。
「…………ア」
声を掛ける間もなく、当の目的の人物は気付くこともなく自分の前を素通りしていく。
「おいっ」
数歩追い掛け、明希の腕を掴み呼び止める。
「わっ あれ? カイキくん?」
振り返った明希は予想外の人物に驚き、目を丸めた。
「…………湯来さんから」
カイキは取り敢えず預かっていた本を明希に差し出す。それを受け取り、その表紙を見た明希は嬉しそうに微笑む。