サイレント・イブ-6
「痛てっ…する、するっ…
おまえは俺の天使なんだ。」
「本当?…」
また小指を絡めて肩を寄せ合い…
キス…しちゃってもいいかなと思った時に電話が鳴った。
『どう?変わりない?』
お母さんからだ。
人生最悪のタイミングかも知れない。
「大丈夫よ。こっちはいいから…」
『おなか空いたらね。
お母さん時間がなかったから何も用意してなかったわ、お寿司でも頼んで食べなさいね。』
「わかったから…
あっ、お母さん…
お友達が来てるのよ。
二人分頼んでいい?」
『お友達?…そう、なら安心ね。
でもめずらしいわね、あかねがお友達呼ぶなんて…』
「クリスマスにあぶれちゃってるのは何もお寺の娘だけじゃないのよ。」
『大僧さんが遅れちゃって少し遅くなるわ…何だったら泊まってもらってもいいんじゃない?』
男のお友達とは完全に思っていないようだ。
私はホッと胸を撫でおろす。
「そ…そうね…
とにかくこっちは大丈夫だから…」
ちょっとえっちな気分になってきたのに母の電話でブチ壊しだった。
「ごめんね…あっ…
お寿司でも…食べない?嫌い?」
「いや、ぜんぜん好きだけど…いいのか?」
夢の続きでも見るように唇と唇を互いに自然に重ねあった。
「んっ…もう…
ドキドキしちゃう…」
彼の胸に甘えるようにもって行きようのない顔を埋めた。
「俺も…初めてだし…」
暖かい胸はたしかに震えていて、早い動悸が聴こえるように伝わった。
胸に抱かれて背中を優しく撫でられると、もう体中に電気が走るような痺れを感じて…
もう、どうにでも好きにしてっ!て気分になってしまった。
「ねえ…変かな?…
初めてのデートでキスしたり…抱きあったり…」
「正直にいうと、俺はずっとそうしたかったんだ…
変に思われるかも知れないけど、おまえが…」