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サイレント・イブ
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サイレント・イブ-5

… … … …

待ちに待ったクリスマス・イブ。
家族をさっさと追い払ってお風呂に入って入念に体を磨いて、ついでにお化粧までしようかと思ったけどそれはやり過ぎかと思ってソワソワしながら彼を待った。

約束の時間きっちりに宮沢はやってきた。

彼はわざわざ本堂の方からやってきたので私はあわてて、思わず重たい大門を開けて迎えた。

後で思えば携帯が鳴った時点で塀沿いにある玄関に回ってもらえばよかったのだ。

「寒かったでしょ?
こっちに座って。」

「へぇ…お寺の中とは思えない普通の女の子の部屋なんだ。」

「そうよ、まさか櫓造りの部屋に住んでるとでも思ってた?」

「ヤグラヅクリって?」

「お寺や神社は神仏を刺すって、釘を一本も使ってないのよ。
こっちの住居は鉄筋コンクリートだけど…」

「ふうん…なんか習ったような気がするなぁ。」

私も落ち着きないけど、宮沢は女の子の部屋が初めてみたいでキョロキョロ見回していた。

「あの…ありがとね。」

「何が…」

「私を好きだって言ってくれたじゃない。
まだ返事もしてなくて…」

「あっ…あぁ。」

「気にならないの?
返事してないのよ?」

「気になる…」

「私も言っちゃうね…
宮沢君が…ずっと好きだった…」

この日、心に決めてた事だけど後になるとまた言いづらくなってしまうので私はさっそく胸が詰まるような思いで打ち明けてしまった。

宮沢は急に立ち上がって私を見つめる。
どうしたらいいのか分からずに無意識のうちにとりあえず震える手を握り合っていた。

「立ってないで…
と、とりあえずこっちに座ってよ。」

意味深に取られたかも知れない。
そんなつもりで言ったんじゃなかったけど、私の座るベッドの横を開けて小指を繋ぎあったまま肩を並べた。

「ありがとう…うれしかったんだから…」

「ぼ…俺もこんなうれしい事は生まれて初めてだよ。」

「ねぇ…優しくしてくれる?」

「えっ!?」

「違うわよっ!
これからも私の事、優しくしてくれる?」

言葉のひとつひとつがセックスに誘ってるように思えて、恥ずかしくて思わず宮沢の背中をバシンっ!と思いっきりはたいた。


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