第五話 和真最大の危機!? 前編-3
その夜。
「あら?もうこんな時間。時羽さん、三輪君、そろそろお暇しましょうか?」
燃え尽き、真っ白になって机にうつぶせる和真を尻目に、叶花が言い出した。
「お、マジじゃん。そろそろ帰らねーと、親父に怒鳴られるわ。」
「怒鳴られる相手はいないけれど、そうね、今日はここまでにしましょうか。」
時羽と三輪も同意する。
「今日からテストまでの10日間、毎日勉強会するわよ!!」
叶花が当然のごとく言ったこのセリフは、和真にとっては有り難いような、泣きたいような気持ちになるモノだった。
結局その日以来、勉強会終わりには、時羽と叶花に夜道を歩かせるわけにはいかないという話になって、2人(ついでに三輪)を和真が送って帰っていた。
そして勉強会最終日の帰り道それは起きた。
「あ゛〜疲れた〜!でもなんか頭よくなったような気がするぜ!」
「それは気のせいね。」
「武藤君が普段から疑問点をしっかり解消していかないから、こんなことになるのよ!」
「確かに。でもまぁ、武藤って見た目からしても勉強出来そうには見えないよな。」
「うるせー!!みんなして責めなくてもいいだろ!?」
わいわいぎゃあぎゃあと楽しげに歩く一行。
時羽の家が近くなってきて、そばにある公園の前を通った時、
「和真君はいつもそう言って結局・・・ん?」
「ん、どしたの時羽?」
時羽が何かに気づく。
「公園の中から声がしない?なんか・・・喧嘩しているみたいな。」
そう言われ耳を傾けてみると、たしかに男同士の怒鳴り声と、女の子の悲鳴が聞こえる。
「ちょっと様子を見に行きましょうよ!」
駆け出す叶花。
「お、おい!やめたほうがいいって!」
三輪がそう言うのも聞かずに行ってしまった。
「しゃあねぇ、俺たちも行こうぜ。」
和真に促され、3人も叶花の後を追った。