『万感を込めたキス』-1
私を抱きしめるといつも
幸せかとか
嬉しいかとか
急かすように尋ねる君は
そのたびに私が
悲しくなるのを知らないのね
うんと答えたくなくて
君の背中に腕をまわして
君の胸に顔をうずめると
君の声が急かすように
幸せだろ?と降ってくる
いらいらとした君の低い声
ばかだね
そんなこともわからないなんて
まるで小さい子どもみたいに
おもちゃをねだるように君は
愛の言葉を欲しがるのね
なんだか急にいとおしくて
答えの代りに
キスの嫌いな君の頬っぺたに
万感をこめて唇を這わす