卒業記念-1
◇卒業記念
Side/M
♪うるわしの〜 ああ 我が母校
体育館に響く歌声とすすり泣く声が混ざり合う。
あれから半年、僕の体は完全に蒼介のために開発されていった。
時に甘く、時に厳しく、僕は蒼介だけを思い賢明に耐えた。
かなりきつい事もされたがなぜ耐えられたのか。
それはきっと蒼介の愛を肌で感じられたからかもしれない。
自惚れかもれないけれど
蒼介さんに
愛されていると
感じる
式が終り、みんな思い思いに別れを惜しんでなかなか教室から出られない中、僕は桜並木を一人で歩いていた。
後ろから人が走ってくる音が聞こえてくる。
ぽんと肩を叩かれて振り向くと、小学校からの幼馴染の篠田信人が息を切らせながら立っていた。
元はといえば彼があの情報を教えてくれなければ、今の僕はなかっただろう。
「おつかれー」
「お疲れ様。高校に入ってもよろしくね」
「いやーほんと実沙希と一緒の高校で良かったよ」
「僕もノブと一緒で良かった」
「でもお前、最初もっと遠くの学校志望してなかったっけ」
「うん。でもやっぱり家から近い方が良いと思って」
「ふーん。理数も苦手だったのに、急に成績上がったよな」
実は蒼介に勉強を教えてもらったのだ。
蒼介の教え方はとても上手で、今までなんでこんな簡単なことが理解できなかったのかと不思議に思ってしまうほどだ。
他愛もないやり取りをしながら歩き、入学式での再会を約束して別れる。
部屋に着くと携帯が震えた。
「卒業おめでとう。
今度の休みに小さいけれどお祝いのパーティーを我が家で開いてあげるよ。
楽しみにしてて」
蒼介からだった。
お祝いのパーティー
きっと普通のパーティーだけでは終わらないんだろうな。
もう蒼介の誘いには何かあるとしか考えられなくなっていた。
きっとすごいことが待っているんだろうな。
なにをされるんだろう
痛いこと
気持ち良いこと
辛いこと
恥ずかしいこと
どんなことでもいい
蒼介さんが与えてくれるなら
僕は全てを受け止める