雪-1
冬の横風に吹かれるだけで
なぎ倒されそうになる
原付を諦めたのは
外が異様に明るかったからだ。
知らないわけではないが
まず積もることのないものが
そこいらじゅうに
のべられている。
それだけで
身動きが取れなくなる。
あせるほどに真面目でもなく。
……どうしようかな、会社。
いろんなものが停滞して
意外に車通りの多い裏道も
さすがに
静まりかえっている。
子供だけは元気だ。
道の真ん中にぺたりとたおれこんで泣いた。
アホや。
ここは雪国じゃない。
少しはぎ取れば
土をのぞかせる
雪をかき寄せ
どろだるま。
たぶん
昼には消えるだろう。
アホや。
そう思いはしたものの
『雪』に捕らわれている私は
結構、子供とよい勝負だと思っている。