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襖の向こう
【父娘相姦 官能小説】

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父と妹の想い-1

今日は予定が無い。
昨日担当者に原稿を渡し、次の連載分のネームも一段落していた。慌てて何かをする必要は、少なくとも今日のところは無い。


昨夜は久々に長く睡眠を取ろうとしたが、こういう時に限っていつも居座っている眠気はどこかに行ってしまう。
日が昇ってからようやく眠りについたものの、思ったよりも浅い眠りになってしまい、目が覚めると朝の10時を半分程過ぎていた。
娘二人が学校から帰ってくるまで十分時間があり、1人で過ごすには少々長い。

生活に必要な食糧や衣服等は殆ど小夜が、時間が合わない時などは怜が買ってきてくれる為、自分がわざわざ買い物に行く必要は無い。
さすがに資料は娘に買わせる訳にいかないが、それも今のところは必要なかった。
今は怜のお陰で簡単な体位やプレイは資料無しでもいいが、複雑なものや少々変わった類のものはそうもいかない。

結局外に出る用事も思い付かず、銀太郎は自分の妻に会おうと一番下の引き出しにしまったアルバムを取り出した。
もう写真が増える事はないであろう、たった一冊だけ残されたアルバムを見つめる。

銀太郎自身は昔からあまり写真に写るのが好きではなく、二人で写っているものは少ない。

妻は、朝美(あさみ)は漫画の編集者で、銀太郎が初めて持ち込みをした会社で働いていた。
成年向けの漫画を描いておきながら、銀太郎は女性の編集者が居た事に驚きを隠せなかった。

その後、何度か投稿をしてからデビューが決まり、朝美が銀太郎の担当になったのだった。


(これは、デビューが決まった記念に撮ったやつだな)


隣でピースをしている朝美と、緊張で全く笑っていない自分。
これじゃまるで私の方がデビューするみたいに見える、と朝美が笑っていたのを思い出す。

高校を出て何本も漫画を描き続け、投稿しては数多くの担当者に叱咤され続けた。
度重なる失敗に心は折れかけ、最後に持ち込んだのが、朝美がいた会社、即ち今も付き合いのある所だったのだ。

銀太郎にとっては朝美が自分を漫画家にしてくれたのも同然だった。
もし違う編集者に会っていたら、自分は普通の人間として生きていたに違いない。
ひいては、朝美と会えなかったかもしれないのだ。
そうなれば小夜も怜もこの世には存在しなかっただろう。朝美はまさに、文字通りの生みの親だった。

「なあ、朝美。俺達の娘は、二人とも元気に育ってるぞ」


小夜と、怜を産んですぐ事故に遭い急逝した妻に報告する。
突然妻を失った悲しみを忘れる為に男手一つで育ててきたのだ。
謂わば二人は妻の形見でもあるので、普通の娘以上に大事にしなくてはならない。

「二人ともお前に似てるよ。怜は顔は俺に似て犬顔だが、体はお前にそっくりだ」

くだらない事を言うんじゃないの、と小突かれそうな気がした。
自分は冗談を言うのが好きなくせして、俺は言ったらいけないのか、と銀太郎は呟いた。


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