悔し涙が身に染みる……。-14
――嘘、まさか奈々子さん……。
奈々子のことは正直よくわからない。だが、彼女は確かスカートのはず。そして、幸一もまたアレを出している。聡のものと比べれば多少見劣りするが、それでも立派に剥けたオチンチン。それをどうしているかはおいといて、彼女はたまに「んっ、んっ」と鼻息を立てながら腰を前後させていた。
――してる……んだよね?
先ほどから室内に漂う匂い。
潮の臭いと汗、アルコール、アンモニア。そのどれとも別に香る、男女の臭い。
処女の彼女には未経験の臭いだが、酔いとは別に頭をくらくらさせるそれに、彼女は本能的に悟っていた。
――だ、駄目だよ……。だってあたし、栄治君の……。
脳裏に浮かぶのは彼の顔ではなく、情けなく皮を被った逸物。
「やっ!」
指がにゅるっと膣を穿る。一本二本ではなく、最初から三本。
この異常な雰囲気と男性器をまざまざと見せられていたせいでバルトリン液も垂れ始めており、指は難なく膣内部をくすぐる。
――だめ、だめなの。止めて、先輩、止めて……。
佐奈は聡の膝を抓るが、手は留まるところを知らない。ぬるっと含み、ぐじゅぐじゅっとかき回してくる指先。
次第に足から力が抜け始め、佐奈はテーブルに手を着く恰好になる。当然お尻は聡に向けられており、さらに……。
ぺちょ、ぺちょ……。
暗い室内に響く水のはねる音。
思わず佐奈は握り締めていたショーツで口を覆い、必死の声を殺す。
割れ目と菊門の間に舌を這わされた。さらに割れ目へと移動され、汁に唾液を混ぜられる。
ゆっくりと侵食されているのがわかった……。
**
唐突にドアが開き、室内に明かりが灯る。達郎に連れられて栄治が戻ってきたのだ。
「!?」
ばっと身体を起こす佐奈。スカートを翻してなにごとも無かったように澄ました表情を見せるが、一瞬の明かりの下に見えたのは彼女の白いお尻と内腿から回る聡の手。
宏美の肩にキスをしていた和志はゆっくりと顔を上げ、宏美も「んふぅ……」とけだるそうに服を正す。
にっこり笑顔の奈々子は特に微動だにすることもなく、前後の動きを止めた模様。ただ、幸一にはしっかりと座っているのはだれの目にも明らか。
「何してんだ?」
栄治の声に皆苦笑い。彼の視線の先には当然佐奈がいる。
皆知らないふりをしているだけだが、彼らが付き合っているのは公然のこと。それゆえに彼女がだらしない姿をしていたのはいささか不安の種でもある。
「なにって、命令だし……、二人が戻ってくるまでちょっとね……」
「ああ、まあみんなで静かにしてただけだし、下倉が気にすることじゃないよ」
「だって、なんでお前。佐奈、なんで石見先輩の膝の上に座って……、一体さっきまでなにしてたんだ!」
声を荒げる栄治は顔を真っ赤にするが、それは果たしてアルコールのせいかもしれない。
「違うよ。何もないってば。っていうか、ただのゲームでしょ? 何むきになってるの?」
「むきって! だってお前! なんで他の男の!」
「だから、ゲームだってば……ただのゲーム……」
「ゲームだったらなんでもするのか? ふざけるなよ!」
ゲームを繰り返す佐奈はばつが悪そうにしつつ、聡の膝の上に座ったまま。一方の栄治も納まる様子が無く、息を荒げている。
「もう……、栄治は黙っててよ……」
「なにが黙っててだ! 俺はお前の……!」
「はいはい、命令だよ。順番飛ばしてるけど良いよね? 佐奈ちゃんの命令は栄治君に黙っててもらいたいってことでしょ? じゃあ聞かないとね。さっきまでお膝に奈々子ちゃん乗せてたんだし、まさか約束破る気?」
笑顔の忍としかめっ面の栄治。暫くにらみ合っていたが、栄治はどっかりとソファに腰を下ろすと、目を瞑って腕組みをする。