其の温もり-11
「あ・・・うそっ、マジで?うわ・・・当たっちゃったみたい、だね」
いきなり答えが表示されている事に驚き、食い入る様にその字を凝視している。
探す手間が省けた、と思っている自分が少し怖かった。
名前と番号を確認しようとしたらいきなり画面が切り替わり、警告音の様な音が鳴り響いた。
「うそっ?!電池切れ?!」
まだちゃんと見る前に小夜の携帯は息切れを起こしてしまう。
怜の携帯とは機種が異なる為充電器も使えず、最早どうしようも無かった。
「何て読むんだろ、あの名前・・・ゆうじ、かな?」
しかし、きちんと確認する前に画面が切り替わり、僅かしか見られなかった事で、寧ろ目蓋に強く焼き付いたのだった。
「・・・・・・いつから、付き合ってるんだろ・・・」
怜は、まるで携帯など見なかったかの様に、床に置いて自分の部屋に戻った。
誰もいなくなった廊下に寒々とした空気が横たわっている・・・
〜〜続く〜〜