無数の視線-4
「えーこの度は撮影会にご参加いただきありがとうございます。紹介いたします。モデルの桐生実沙希くんです」
僕は名前を呼ばれて蒼介の横に立って小さくお辞儀をすると、どよっとざわめきが濃くなった。
「男の子なんだ。見えないなー」
「可愛いなぁ」
「どのレンズでいこうかな」
ざわざわと色んな言葉が聞こえ、それを制するように蒼介が声を上げる。
「ではまずホワイトバックで撮影してからベッドにしましょうか」
蒼介は僕を真っ白な背景の前に立たせると耳元で囁いた。
「カメラマンがポーズを指定してくるから言われたとおりにやれば大丈夫だよ」
蒼介はにこっと笑って僕の頭を撫でると、人の列の後ろに下がっていった。
「実沙希くん。いや実沙希ちゃんのほうが良いかな?よろしくね」
「よ、よろしく、おねがいします」
それからカメラマンの指示通り様々なポーズや表情をこなしていく。
しばらく撮影が進むと、撮った写真を見せてもらえた。
最初は表情も硬く、ポーズもぎこちない写真ばかりだったが次第に自然な感じになってきていることに気がついた。
「じゃぁベッドに移動しましょうか」
ベッドにはウサギのぬいぐるみやハート型の可愛いクッションが置いてあり、それを使って色んな写真を撮っていく。
「ちょっとごめんね」
一人のカメラマンが女の子座りをしている僕のスカートを少し上に上げた。
角度によってはノーパンの下半身が見えてしまうかもしれない。
「そのまま上半身を仰け反らせて。そう」
手を後ろについて胸を張るとスカートが余計に上がってきてしまう。
久しぶりにやってきた淫靡な緊張感に顔が熱くなる。
「じゃぁ膝を立ててみようか」
「え・・・あの・・・・」
膝を立てれば確実にスカートの中が見えてしまう。
僕は蒼介の姿を探すが、どこにも見当たらずに困ったようにうつむく。
するとギシっと僕の背後で音がしてベッドが沈み、僕の太ももに手が入って大きく左右に開かれてしまった。
「ちゃんとカメラマンの言うとおりにしなきゃだめだよ実沙希」
僕の頭の上から蒼介の声が聞こえてきた。
小さな子供がおしっこをするような体勢で膝を抱えられ、スカートの中が完全に外に見えるようなポーズになった。
「あああ!!やっ!!!見ないで!!」
僕は必死にスカートで前を隠そうとする。
バタバタと暴れる僕をにやにやとカメラを構えて待つ男達。