無数の視線-2
Side/S
今回は少し遠出をする為、自分の車で出たのだが思いがけず渋滞にはまって、約束の時間を少し過ぎてしまった。
小走りでいつものベンチへ向かうと実沙希が出会ったときと同じ服で座っていた。
初めて会ったときはその実沙希の愛らしさに目を奪われていたが、今回は少な目のレースに黒と白のバランスの取れたその服を完璧に着こなす実沙希に思わず溜息が漏れた。
「あっ・・・他の服の方が良かったですか?」
「いや、違うよ。あまりに綺麗だったから」
「・・・ありがとう、ございます」
実沙希はぽっと頬をピンクに染めてうつむいた。
柔らかく抱きしめると実沙希も僕の胸に顔を埋めた。
「蒼介さんに会えなくて、本当に寂しかったです」
「僕もだよ。早く実沙希のいやらしい顔を見たくて仕方なかった」
「あっ・・・んん」
僕はスカートの中に手を滑り込ませて、何も履いていないお尻を優しく揉んだ。
相変わらずすべすべと心地よい肌触りだ。
「さぁ今日はこの可愛い実沙希をたくさんの人に見てもらうよ」
「えっ・・・」
驚く実沙希を車に乗せ、目的地に向かって発進させた。
高速をとおり、一時間ほど走らせて過ぎ去る風景に山の空気を感じ始めた頃、一軒のコテージ風の家に到着した。
くねくねと山道をしばらく登ってきたので、少し蒸し暑くなってきた都会に比べて、風が肌寒いくらいだ。
駐車場にはすでに三台ほど車が止まっていた。
車の外にはタバコをくゆらしている男達が数名。
「着いたよ。今日はね実沙希の撮影会なんだ。ちゃんとしたカメラマンがたくさんくるから良い顔をするんだよ」
「撮影会・・・ですか?」
「そう。まぁ向こうはプロだから大丈夫だよ。肩の力を抜いて自然にしていればいい」
「はい・・・頑張ります」
実沙希の表情はいまだ硬いが、最後にはいつものあの顔が戻ってくるだろう。
今日は普通の撮影だけではないから。
どんな顔が見れるか楽しみだ。
僕は実沙希とともにコテージに入った。