悪魔の微笑み-2
「今日はお綺麗な方をお連れで」
「ええ。これからとても楽しみですよ」
お互いに意味ありげに視線をかわしにやりと笑った。
するとすっと襖が開いて女が顔を出してきた。
「すみません。お手洗いは・・・」
「ご案内いたします」
女将はお辞儀をして彼女を連れて行った。
僕は席に着くと彼女のグラスにビールを注いで小さな錠剤を中に入れた。
「ごめんなさい。お待たせして」
「いえいえ。では無事に研修を終えられたことを祝して」
グラスを軽く合わせて僕は一気にビールを流し込んだ。
彼女もつられてグラスを空ける。
「結城先生は・・・」
「あ、私の事、香織って呼んでくださっていいですよ」
にこっと笑うとたっぷりと塗ったグロスがぬるぬるとナメクジのように光った。
今日は一段と化粧が濃い。
それもすぐにぐちゃぐちゃになる。
「あれ・・・どうしたんだろう・・・・」
女はおでこを抑えて目をきつくつぶって頭を振った。
「どうしたんですか?」
「いえ・・なんだか・・・・めま・・い・・・が」
女はがしゃんと大きな音を立てて目の前の料理に向かって倒れこんだ。
「これだから下品な女は嫌いなんだ」
廊下からガヤガヤと人の声が部屋に近づいてきて、襖が開かれる。
そこには三十代から五十代くらいまでの幅広い年齢の男達が総勢二十名ほどいた。
その中でも一番上とおぼしき男性が女の髪の毛を引っ張り顔を上げさせる。
「ほうほう。こいつが今夜の」
「ええ。安斉先生の手でこの下品な女を美しく飾ってください」
男達の手で抱えられた女は八帖ほどの畳のスペースに運び出され、洋服を全て剥ぎ取られて素っ裸でじっくりと観察されていた。
一人が奥の襖を開くと布団が敷かれているのが見える。
ここは料亭と見せかけて実は和風のSM専門ホテルなのだ。
先ほどの女将もホテル専属の緊縛師で何度か一緒にプレイしたこともある。
安斉は早速慣れた手つきで女を縛り上げていった。
緊縛は芸術だ。
豊満な乳房が強調されるように縄が渡され、ブヨブヨのたるんだ腹もその縄の模様で美しくくびれが作り出されていく。
大きくM字に開かれた足はもう二度と閉じられることはないだろう。
汚らしい黒い茂みも綺麗に剃り上げられ、割れ目にはきつく縄が食い込む。
安斉は格子状になっている天井に縄を通して女の背中に繋げていく。
五人がかりで女を支えると、一気に縄を下に引いた。
ぐぐぐぐぐっと女の体が持ち上がり、支えていた手が離れるとプラプラとその肉人形が揺れた。
重力にしたがって柔らかい乳房が下に垂れ下がっている。