痛みと快感の狭間-8
Ｓｉｄｅ／Ｓ
実沙希のお尻を叩き始めて五十回を越えるころには、僕の手も腫れて感覚がなくなってきていた。
相手に痛みを与える時は自分も同じだけの痛みが生じる。
その痛みが僕の心を満たしていく。
泣き叫びながら数を数える実沙希のお尻はすっかり赤く腫れあがり、内出血で紫色の斑点も出てきている。
だが実沙希の体は痛みの中にある快楽をすでに見出していて、床の絨毯には先走りの粘液で水溜りのような染みが出来ていた。
「お尻叩かれて、気持ちよくなってるの？」
目を潤ませながら申し訳なさそうに僕を振り返る実沙希にお仕置きの意味を教えるべく勢いをつけて手を振り下ろした。
感覚が薄れてきた僕の手にも痺れるような痛みが走る。
九十回に入るともう実沙希は喘ぎ声しか上げなくなっていた。
お尻もパンパンに腫れていて、叩く音も痛々しいのに実沙希は叩くたびに恍惚の表情を浮かべる。
「ふ、んんんん！！！あぁぁ、きゅ、う・・じゅう、きゅうぅぅ」
最後の一振りを今か今かと待つ実沙希。
でもまだだ。
緊張する実沙希の心臓の音がここまで聞こえてきそうだ。
まだ。
肩で息をしながらぎゅっと目をつぶり僕の手を待つ。
まだもう少し。
ゆっくりと目を開いて僕の方に顔を向けようとした瞬間
いまだ。
「今、早く叩かれたいと思ったでしょ」
びくっと大きく肩が揺れる。
早くあの痛いくらいの快感が欲しいと思ってしまったことを指摘すると
実沙希は床に顔を埋めて大きく喘いだ。
実沙希のことは全部お見通しだよ。
僕は最後の一発を一番強烈なものにするために、思い切り手を振り上げて、真っ赤なお尻に手を振りぬかずに叩きつけた。
スパンキングは基本的に手を振り抜くことで痛みと快感が発生する。
叩いた手をそのまま留めておくと痛みだけが残り、自分の手にもダメージが大きい。
だが今の実沙希はそれさえも快感として全身を貫いているだろう。
ぱたぱたっと床に精液が飛び散った。
僕は気持ちよさのあまり声も出さずに射精する実沙希に貪るように口付けた。
熱い口の中で実沙希の舌が柔らかく僕を迎えてくれた。
ベッドに移動し、氷でお尻を冷やしてあげていると実沙希は心配そうに僕の股間を見つめてきた。
スパンキングは叩く方も叩かれる方も思っている以上に体力を消耗する。
明日は一日連れ出す予定なので、今すぐどうにかしてもらいたい気持ちを抑えてシャワーを浴びに風呂場に向かった。
痛いくらいの少し強めの水流でシャワーを浴びるが、すっかり勢いがついた僕のモノはまったく落ち着いてくれなかった。
仕方なく熱くいきり立つ幹をグッと握り目をつぶる。
顔を真っ赤にして痛みと気持ちよさに耐える実沙希の顔が走馬灯のように蘇ってきた。