コントロール-5
「そぅ・・すけさん・・・・」
「お腹痛くなってきた?」
「は、はい・・・うぅ・・」
「そうしたら僕まだ少し時間が掛かるから薬を飲みなさい」
そういえば薬を貰ってた。
どこにやったっけ・・・
鞄を漁り、透明な小さいパッケージに入っているタブレットを見つけた。
「それから朝比奈公園はわかる?」
「あ、はい。わかり、ます・・・」
「じゃぁ一時間後にそこの公衆トイレで裸になって待っていなさい」
「はい」
あと一時間も耐えなければならないのかという絶望感に肩を落として、持っていたジュースで薬を飲んだ。
するとたちまち腹痛が治まり、何もなかったかのように気分が落ち着いた。
そして自転車を朝比奈公園へと走らせる。
公園は僕の学校から二十分の所にあり、小さい頃はよく友達と遊んでいた場所だ。
懐かしいなぁ・・・
あのジャングルジムから落ちたことあったな
ほとんど変わっていない外観に懐かしさがこみ上げてくる。
でも僕はこれからここで恥ずかしい記憶を残すことになるんだ。
僕は薄暗い公衆トイレに入ると一番奥の個室へと入った。
扉や壁にはいやらしい落書きがたくさんある。
便座の蓋を下ろして腰掛けると天井を見上げた。
いつ取り替えたのかも分からない白く濁った蛍光灯には蜘蛛の巣とホコリが溜まっている。
こんなところで何をするんだろう・・・
本来の目的以外でも何かするのではないかという不安と期待が交差して、胸の高鳴りを沈めるように手早く制服を脱ぐ。
鍵付きのパンツ以外は全て脱ぎ、急に心細くなって体を小さくして蒼介を待った。
時折トイレを利用する音が聞こえて、ドアの鍵を掛けているのにも拘らず息を殺してじっと心寒さに耐えていた。
ひどく時間が長く感じられた。
カツ、カツと革靴の硬い音が僕の個室の前で止まる。
「実沙希。僕だよ」
僕はすぐに鍵を外し扉を開いた。
蒼介はすばやく個室に入ると後ろ手で鍵を掛けながらキスをしてきた。
激しく甘い口付けに僕も応えようと舌を絡ませる。
僕はもうそれだけで頭が痺れるような感覚に身悶えてしまう。
キスを終えた蒼介はポケットから小さな鍵を取り出すと、僕のパンツについている鍵を外した。
そして僕を便座にしゃがませて僕を後ろ手に縛った。