襖の向こう-6
(私を離さないで、ずっと一緒にいたい。お父さん、好き、大好き)
「うぁあ・・・れ、怜、いくぞ、思い切り出すぞ!!う、おぉぉ・・・!!」
急に締め付けが強くなり、千切れそうな程強烈に肉棒に絡み付いてくる、怜の膣内。
最早、銀太郎に躊躇いなど無かった。
「んああああああああああ!!おとぉさぁああああああああああん!!」
欲望を力の限り吐き出す。
もっと頂戴とねだる様に蠢く柔肉に、更に搾り出す様に注ぎ続けた。
「・・・怜・・・」
「おとぉさぁん・・・」
血の繋がった娘を犯している・・・
己の理性の部分が責めてくるのを押し潰すかの如く、銀太郎は怜の唇を貪り続けた。
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仏壇に手を合わせてから小夜は蝋燭の火を吹き消す。
物心ついた時から既に母親はこの小さな遺影の中に居た。
これ以外では、たった一冊だけ残っているアルバムの写真しか無い。
小さい頃は周りの大人達に大変だとか母親が居なくて寂しいでしょうとか、うんざりする程聞かされてきた。
しかし、小夜は記憶に無い人の事をどう思ったらいいのか分からなかった。
銀太郎はあまり自分から母親の話をしなかったので、未だにどんな人だったのか分からない。
小夜は中学に上がる頃から率先して家事をする様になった。銀太郎の負担を、少しでも減らそうとしたのだ。
その為、母親の記憶は無いが、自らが母親代わりとしての記憶ならある。
急に携帯が鳴って、表示された名前を確認した。
目に入った字を見た途端に胸が高鳴り、通話ボタンを押す前に電話を耳に当ててしまう。
「もしもし、勇志(たけし)?!」
『もしもし、小夜』
相手の声を聞いて頬が緩む。
家に帰ってから締まりっぱなしだったが、ようやく解けた。
『いま何してたんだ』
「学校から帰ってきたところ。家にいるよ」
『あっ悪い、じゃまた掛け直すから』
「大丈夫。お父さんも妹も近くにはいないし、それに・・・仕事中、だから」
少し含みのある様な言い方になってしまった、と小夜は心配した。
だが特に勇志は気にとめず、話を切り出す。
『明後日、大丈夫か?映画観に行こうぜ』
「ホント?!楽しみにしてるからね!何観るの?!」
『期待していいぞ。じゃあ、またな』
「あっ、ちょっ・・・」
もう少し話そうと思ったがすでに電話は切れていた。
小夜の耳に虚しくそれを示す無機質な音が聞こえてくる。
交際している事は家族には内緒にして欲しいと頼んだのは自分だから、自宅であまり長く電話できないのも無理は無い。
何故そう頼んだのか、小夜は自分では分からなかった。
小夜には昔から、人に対して隠し事をしてしまう癖があったのだ。