留守番の夜-3
残された貴哉は、ソファに寝転んで落ち着こうとしたが、なにか、痛い。
背中をゴソゴソすると、固い物に触れた。
持って来て見て、驚く。
『「あぁん、感じるぅ…」
「ココがイイのか、洋子」
「そぅっ、そこよ…きもちぃ…」
弘樹が洋子を責めたてる。』
それは、先程慌てて放り出した、亜紀子のケータイだった…。
…へぇ!官能小説ってヤツじゃん!
貴哉は読み進めてみたが、あっけない内容。
しかし、これを読んでいるのは4歳下の妹…
貴哉の下半身が熱くなる。
「兄ちゃん、お水!」
…あれ?あたしのケータイ?
「あぁっ!!」
「へ〜ぇ?あ〜こ、こんなん読むんだ?
おもしろい?このくらいで」
「なに言ってんのよ、いーから早く返してよっっ!」
亜紀子の伸ばす手は、空を切る。
「水、危ないよ。ちょうだいよ?」
ひょいっとコップを取り上げて、貴哉は一息に飲む。
そのまま脇の机へコップを置くと、もう一度襲来してきた亜紀子の腕を、さっとつかんだ。
ぐいっ!
「きゃぁっ!?」
どしん!
半回転させられて、亜紀子は貴哉の足の間に、すっぽりと座ってしまった。
兄の両腕が体をまわり、耳元で低い声がした。
「今度は、かわい〜声、出たじゃん」
亜紀子がひくっとした気がしたが、すぐに大声を出された。
「やめてよっ、離してよ!!」
「だぁーめ。
ね、ね、な〜んかシてたんじゃないの、コレ見て?」
体の脇から亜紀子のケータイを取り出すと、腕を伸ばして亜紀子から離してから、こちらへ向けてみせる。
「ヤダヤダ、返してよっ!」
後ろから抱きしめられていても、亜紀子の手は届かない。
「あ〜こ?正直に言ってごらん?」