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「闇に咲きぬ」
【姉弟相姦 官能小説】

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「闇に咲きぬ」-1

−1−
牡丹の花を見ると、私はいつも姉を思い出す。あれからもう二十年になるというのに…。
私は、暴力団緋川組十二代組長、緋川宗一郎の長男として昭和四十年に生まれた。
緋川組としては待望の男子で、私は生まれた時から緋川組十三代組長の座が運命づけられていて、組の皆にとって、私の誕生はめでたいことであったはずだ…しかし、私の姉にとっては必ずしもそうだとは言えなかったのだ。
私には十四離れた姉がいる。姉は、私の誕生までは緋川組十三代組長第一候補だった。私が生まれる二年前、姉は組を継ぐ決意をしたのだが、私の誕生によって運命の路線の変更を余儀なくされたのだ。
かなり年の離れた姉弟であり、幼くして母と死別した私にとっては姉というより母のような存在だった

事実、小学校の時などは、弁当を作ってくれたり、時には授業参観にまで来てくれたりしたものだ。姉は中卒でほとんど家にいたので、肌は透き通るように白く体も細かったが、いつも凛とした空気をもっていた。授業参観のときも和服をぴしっと着て、後ろから静かに私を見つめていたものだ。
私の世話はほとんどが姉の仕事で、十歳くらいまでは風呂にまでいれてくれていた。
しかし、決して私に裸を見せることはなかった。いつも服を来たままで、私をお湯につからせ、体を洗ってくれるだけだった。何度か一緒に湯船につかろう、持ちかけたが、「遠慮するわ」と寂しい微笑みを返されるだけだった。
その微笑みの意味を、理由を、私は考えたことがなかった。

−2−
季節が何度か巡り、私が九つくらいのときに姉の植えた桃の木がいっぱいに実を結んだ頃、その謎は解けることとなった。

十五歳の誕生日を迎えた私は、緋川組のみんなから「元服の儀」と称する酒盛りでしこたま飲まされた

深夜…ふらふらになりながらなんとか自分の部屋に戻り、敷いてあった布団に倒れ込んだ……遠くではまだ宴会が続いている。私はその喧噪を頭の端で聞きながらうとうとしていた。
―と、私はある違和感に気づき、回らない頭を回転させながらその原因を探った。
そして、寝息を立てている姉の姿を隣に認め、自分が道を間違えて姉の部屋に入ってしまったことに気がついた。
姉の寝込みを襲ったとなれば厳格な父に殺されかねない。
私は慌てて立ち上がろうとした……が、足がもつれてしまい、不幸にも姉の上に倒れ込んでしまった。

ドサッ
衝撃で姉が目を覚ます。
「きゃ…」
「ね、姉さん!違う、俺だ!」
姉が叫びそうになったのを慌てて制止しする。
「…竜之介?どうしたの?会はもう終わり?」
「いや、まだ続いてるよ。聞こえるだろ?」
遠くでは父の笑い声が聞こえる。
「…そうみたいね。」
姉が軽く微笑む。
私もつられて笑った。
「主役潰れても関係なしだよ。酔ってて部屋間違えたんだ。寝てるの邪魔してごめん。部屋に戻るよ。よっ…」
私は立ち上がろうとしたが、再び足がもつれ、その場に座り込んでしまった。
「大丈夫?少し休みなさいな。」
「う…うん。」
月明かりの中で姉と向き合う。
酔いのせいか、月明かりのせいか、姉はいつもよりずっと美しく見えた。わずかにはだけた胸元から、白い肌がのぞく。
自分の股間に血液が充填されていくのを感じ、私は姉の中に女性を感じている自分を認めた。
「姉さん…」
掠れた声で姉に呼びかける。
「ん?」
姉は首を傾げてこちらを見返す。
酒が入っていた勢いも手伝って、私は自分の欲望に素直になっていた。
「元服って、大人になることだろ?」
「そうね。そうだと思うわ。」
「酒を知ったことで大人に近づいたと思うけど、大人になるためにはもうひとつ知らなきゃいかんことがあるんじゃないか。」
「どういうこと?」
「姉さん、俺は女を知らん。姉さん、俺に女を教えてくれんか。」
「!」
「ちゃんと大人になりたいんだ。緋川組に竜之介あり、と言われるような男に。」
「……」
姉はしばらく思案して、口を開いた。
「分かったわ…」
「姉さん…」
「でもね、竜之介。」
姉は急に厳しい顔になって言った。
「今言った言葉、決して忘れるんじゃないわよ。私はあなたに全てを見せて、全てをあげる。だから、この組を引っ張る男になる、ともう一度約束なさい。」
「姉さん…」
私も今勢いに任せて発した言葉を真剣に反すうし、姉の目を見て言った。
「分かった、約束するよ。」
「竜之介、おいで。」
姉は私を引き寄せ、胸に押しつけるようにして抱きしめてきた。
「私はもう二十九だから、きれいじゃないよ。」
「姉さんは十分きれいだよ…」
それはお世辞ではなかった。実際、私は姉を美しいと思っていた。


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