龍之介・七-8
「葵ぃぃぃぃっ!!!」
「はぁあああ!!龍くぅぅぅぅぅぅん・・・!!」
俺と姉さんの体がほぼ同時に跳ねた。
柔らかい肉が力強くうねりをあげて、欲望を吐き出し続ける俺自身を締めあげて・・・
「はぁはぁ・・・はぁ、はぁ・・・」
「はぁはぁ、は・・・あ、ふぅふぅ・・・ふぅう・・・」
一緒だった呼吸のリズムがすぐに離れていく。
たかがそれだけの事なのに無性に寂しくて仕方なかった。
快楽が消えたら、残るものは遣りきれない気持ちだけ。
またやってしまったという後悔、姉さんを傷つけた自責の念。
服を着直した後、姉さんはもう一度床に寝転んだままの俺に抱きついてきた。
(俺は、二度と姉さんに会っちゃいけない。触れるのも、顔を見ることも許されない)
姉さんで知った快楽に、他の気持ちが勝てなかった。
この5年、本当の笑顔を見ることは出来なかったな。
一緒に暮らしていてももう姉さんに償いは出来ない。
幸せにする事なんて出来ないんだ。
「龍くん・・・今夜はこのままでもいい?」
「・・・・・・うん」
明日俺は一人になるが、
姉さんには生きる目標がある。だから、もう大丈夫だ。
「立派な先生になれよ、葵」
「・・・すぅ・・・すぅ・・・」
言葉は届かなかった。
でも、それでいいんだ。自分で分かってる事だから。
さよなら・・・葵
姉さん・・・・・・さよなら
〜〜壱に続く〜〜