龍之介・七-6
・・・そう、思いたい。
実際は俺の黒い濁った内面はもう治る見込みが無いと、愛想を尽かしたのかもしれない。
葵に見限られたくない、駄目な人間だと思われたくないのに、思えば思う程その濁った部分は臭さと粘り気が悪化していった。
結局はこうなるんだ。
すっかり体を求めなくなったのに、完全に断ち切れたんじゃない。
どうしようもなく弱い弟だったんだ。ずっと昔から。
ただ姉さんの支えになれるだけで幸せだったはずなのに。
嘘だったのか、自分の本心を隠す為の建前でしかなかったのか。
「ひっあぁっ、あはぁ!ん、ふぁ・・・あぁっ、痛いよぉ・・・龍くぅん・・・」
乱暴にスウェットを脱がしにかかり、葵の華奢な下半身から剥ぎ取ってしまう。
俺は今、どんな顔をしてるんだろう。葵が怯えてるからきっと、悪党みたいに笑ってるのだろうか。
下着が中途半端に脱げて太股に引っ掛かり、葵は局部が見えない様に手で隠している。
声を出す事が出来ず、耳や顔を赤くさせて必死に隠す様が興奮を誘った。
「葵・・・手の中に隠したもの、見せてくれよ・・・俺に」
(違う、こんな事を言いたいんじゃない、やめろ。もう姉さんを傷つけちゃいけないんだ)
葵は瞳を潤ませてじっと俺を見つめ、下唇を噛み締めながら静かに首を振った。
明らかに嫌がっているのに俺はそれを認めようとしない。
「早く見せろって・・・」
「・・・あ・・・ッ」
前歯を舌先でつつき、れろれろとくすぐる様に撫で上げる。それだけで葵はもう呼吸が早くなり始めていた。
(助けて姉さん。俺はただ、姉さんの傍に居たい、それだけなんだ・・・)
「んん、んちゅ、んっ、はぁ・・・あっ、ふぁ」
一方的に舌を絡ませ葵の咥内に唾液を流していく。
トレーナーの上から乳房をまさぐり、既に勃起している乳首をなぞった。
「やだよぉ・・・龍くん、明日早いんでしょ、もう寝なきゃ駄目だよ」
こんな時でもまだ弟である俺を心配するとは。
自分の事より俺の方が大事だっていうのか、姉さん・・・何で他の人を気遣えるんだ。
俺は一切耳も貸さずに執拗に乳首を愛撫し続けた。愛撫、なんていうには乱暴だけど。
「いいの?我慢出来るのか、やめても」
「・・・・・・」
姉さんは無言で顎を引いた。
もう一回尋ねてみたが今度はこくん、と首を縦に傾けた。
嘘だ・・・欲望に勝てる人間なんているはずない。それは自分が一番良く分かっている。
「素直になれよ。乳首は嘘をついてないぜ」
「・・・・・・・・・」
しかし姉さんは言葉を口にせず、同じ様に首を横に振るだけだった。
そうか、体が疼いてしまっても気持ちがのらなければ制御が効くと言いたいんだな。
だったらどうして、俺はいつまで経っても打ち勝つ事が出来ないんだ!!