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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#01  邂逅-1

「――分かっていますか?すべて、貴女のためになるから言っているのですよっ!?」

「は〜い。すいませんでした〜」



折りたたみ式の会議机を挟み、ヒスを起こす比留間(通称、ビルマ)に内心、辟易としながらも私――佐倉萌(サクラ モエ)は適当に相槌を打ってやった。

にも関わらず、ビルマはさらに声を張りやがる。



「なっ、なんですか、その態度はッ!反省しているのですかっ!?」

「しーてーまーすぅー。これからは気をつけますから、もう良いですかねぇ?」

「ッ!……。……、はぁ……。まったく、もう。佐倉さん、なぜ、貴女はもっとしっかりとできないのですか?ご両親やお姉さんはあんなにご立派――」

「うっせーなぁ!良いだろ、これが私なんだ!」



私は蹴り飛ばすようにして座っていたパイプ椅子から立ち上がるとワザと足音を立てて扉へと向かって歩を進めた。

背後でビルマがキーッキーッ、と叫ぶ。



「佐倉さんッ!」

「分かってますよ、せ・ん・せ・い。もう、遅刻はしませ〜ん。授業にも出〜ま〜す〜」

「いま言っているのはそのことだけじゃ、」

――バァンッ!



ビルマがなにか言っていたが無視し、私は乱暴に扉を叩き閉めた。





私、佐倉萌は――まぁ、いわゆる、不良ってやつだ。自分ではそういった自覚はないが、世間的に見たらそういう枠組みに属していることだろう。

だからといって、漫画に出てくるヤンキーのように別段、グレているわけでも、喧嘩に明け暮れているわけでもない。ただ、漠然と日常を過ごしているだけだ。

それでも、自分らしく生きた結果、こうなってしまったのである。

高校一年の夏である、クラスの連中を見ればなにかと浮かれていたが、私には特別、仲が良い友人などはいない。

なぜなら、この私立鐘状(ショウジョウ)高校は進学校――とまでは行かなくてもそれなりの学校であるからだ。



つまりは――クラスで浮いていた。




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