#01 邂逅-21
「……んだよ、ったく。なにが可笑しいんだよ?」
「秘密だ。それよりも、もう一時前だね。昼飯を食べ損なったよ」
「ちっ――なら、午後の授業はフケようぜ?昨日の礼代わりにおごってやる」
「っ……」
岐島は文章表現ではなく、本当に鳩が豆鉄砲っを喰らったような顔をした。
……?変なことを言ったか?
「なんだよ、その顔は?」
「いや……。そうだね。どうせ、古典、英語だ。あの程度の授業なら俺には必要がないから、ご馳走になるとしよう」
「また、おまえは平然と……ぷっ!くくっ、うっぜ……くくくっ――」
表情一つ変えずに傲岸不遜にサボることを決めた優等生に思わず、笑いが漏れた。
首を傾げる岐島も私をしばらく見つめたのち、ふっ、と微笑んだ。
私はポンポンと岐島の肩を叩く。
「……おまえ、案外、良いヤツだよなぁ?」
「そうだよ。なんだ、知らなかったのかい?」
「くふっ、はははははっ……バ〜カ!」
これが――まぁ、私とこの奇妙な同級生、岐島仙山との出逢いだった。
つづくっ!