#01 邂逅-19
「うぅ〜、無言は辛い。でも、平気。皐月はめげない!それでね、萌ちゃんは仙ちゃんがアソコでバイトしてること、知っちゃったじゃない?」
「バイトだったのかよ?すっげぇ、いかがわしいバイトだな、おい」
「こんなこと、頼めた義理じゃないけど……お願い、黙ってて!私がバラしたらって知ったら仙ちゃんになにされるか……」
「断る!」
「断られたっ?速いよ!悩んでよ!」
「いや、普通にムリだわ。明日、速攻で聞くぜ?」
「お願い!なんでも言うこと聞くから〜!そうだ、私の好きなところ、触って良いよ?その年頃の子ってそういうの好きでしょ?」
「男ならな!私にそっちの趣味はないし、根本的にレイプされかけられた女の子が相手だと察しろよ!」
「じゃ――じゃあ、逆に私が萌ちゃんのバター犬になって、」
「アンタ、もう黙れッ!」
「――って、ことで皐月さんを怒んないでやってくれ。別れ際に赤外線で交換したから、おまえが皐月さんに何かした時点ですぐに発覚するからな?あのバイトのこと、学校中に言いふらすぞ?」
翌日、昼休み。国道側校舎屋上――、
私は食堂へと向かう岐島を強引に引っ張って(拉致ともいう)来たのだ。
……私の態度が攻撃的なのは、仕方ないんだ。
岐島のヤロー、昨日の今日だってのに私になんの感心も示さねぇんだぜ?ムカつくじゃん?
いつもの能面を少しマシにした程度の表情で私を見下ろす岐島。
昨日の戦闘力を知ってる分、この無表情は怖ぇな、おい。
「要約すると、皐月さんがきみのバター犬になった、で良いのか?」
「ちっげぇ〜よ!なに聞いてんだ、バカヤロが!」
「なら……なに?」
「だ・か・ら……ああっ、もう!皐月さんに――」
「別に怒りはしないさ。きみに知られたところで、俺になんの実害がある?」
「いや、だって、」
「学校の許可は取っている」
「マジでっ!?」
「ああ。飲食業、兼接客業だ」