契約-2
「はい。今回の分」
「あ・・・で、でも本番もしてないし、一日という約束だったので・・・こんなにもらえません」
フッと目を細めて僕の耳元で囁く。
「大丈夫だよ。だってこれから長い付き合いになるんだから」
まだ先ほどの返事もしていないのに、彼は僕が提案を受け入れると信じている口調だった。
そう言って僕の手に十万円と、携帯の番号とメールアドレスの書いた紙を一緒に渡してきた。
別れるとき軽くキスをして彼は颯爽と街に消えていった。
夢心地のまま家路につく。
自分の部屋に入ってどさっとベッドに横になると、大きな袋に詰め込まれた汚れた服が目に入った。
それを手にとって、乾いて白くなった染みに鼻を近づけると青臭い匂いが鼻に広がる。
その瞬間、この数時間の出来事が一気にフィードバックして体中が汗ばんで震えが止まらない。
その震えは恐怖からではなくて、あまりの快感の波に気を失いそうになっていたのだ。
「も、もぅ・・・だめ!!!」
染みの部分を深呼吸するように大きく吸い込み、いやらしい匂いに包まれながら、触れてもいないのに何度も射精を繰り返した。
次の日、彼の携帯にメールをした。
「僕を蒼介さんのモノにしてください」
「いい返事を聞けて嬉しいよ」
契約が成立した。