龍之介・六-1
<2006年1月・・・葵20歳・龍之介19歳>
新年早々、私はお風呂の中で龍之介に襲われていた。
「そっか。葵は学校の先生になりたいんだな」
「龍・・・くぅん、あっ、あぁっ、んっ、前にも話したでしょ?忘れ・・・ひあぁっ!」
「葵が家を離れるからずっとへこんでたんだぞ、覚えてねえよ」
「ひゃうっ!だめ、耳たぶは・・・いやぁんっ!」
お風呂の中に私の声が響いて妙にいやらしく聞こえる。
龍之介と一緒に暮らす様になってから、こうしてほぼ毎日身体を弄ばれていた。
何も知らなかった龍之介が性に目覚めてしまった時と同じ様に、私の全身を力強い指が這い回り、愛撫の様に蹂躙していく。
「葵だったらきっといい先生になれるよ。俺が保証する」
「ど、どうやって・・・んぅっ?!」
私の肩にそっと歯を当てて、耳に息を吹き掛けながら囁いてくる。
「分かんない」
「龍くん、ふざけないでよ。真面目に答えて」
「だって、葵は子供を世話するのが好きだろ。小さい子見ると嬉しそうじゃん」
全く答えになってない。
思わせ振りなくせに何も考えてない弟の意見なんか、当てにするものじゃない。
・・・でも、あの頃の龍之介とは少し違っていた。
「俺にも見せて欲しいよな。あれくらいのいい笑顔をさ」
「もしかして妬いてるの?龍くんってば可愛いところあるじゃない」
「うるせー。笑うな葵っ!」
「やっやだ、ちょっとそこ・・・きゃははははは!やめなさ、あひゃひゃひゃひゃひゃ!」
とにかく高校生の頃は、私の淫らな姿を見ようと激しくしたり逆に焦らしたり、色んな手を使ってきた。
それこそ時には私を道具の様にして・・・
でも今はちょっと違う。
普通の会話をしながら、私の体を疼かせていく。
久々に襲われた時は怖さと痛みと不安で、涙を堪えきれなかった。
また、あの地獄の日々が戻ってきたのかと思うと、その日は目を閉じても眠気が降りてこなかった。
「足の裏より脇腹の方がくすぐったいみたいだな」
「しっ知らないってば、あっははは・・・やめて、やめ、やめぇえいひひひひっ」
私を自分のやりたい様にしてるところは変わらないと思う。
でも、少しずつ龍之介の行動は変わってきている。
しばらくは無理矢理襲われたりしたけど、そのうちあまり私を力で抑えつける事はしなくなった。
・・・涙が効いたのかしら。
次第に私は行為に対して体を委ねられる様になっていった。
もう怯えなくてもいいんだ、そう思うと自然に身体の強張りが解けていく気がした−