〈蠢く瞳・其の三〉-15
『さあて……テニス部で三年間も鍛えた身体って、どんな物か見てみますかな?』
有海「ん…んぶ!?ん"〜〜〜〜ッ!!!!」
抱えられたままの有海のユニホームを掴み、グイグイと脱がしにかかる。が、濡れたユニホームと麻縄の摩擦は強くなっており、身体が揺すられるだけで上手くいかない。
『……参ったな……床に置いてやるか』
ゴロリと有海は床に転がされた。
男の腕から離れても、有海は微動だに出来ず、横向きにただ転がったままだ。
懸命に頭を動かして、泣き声をあげるだけ。
有海「…う…ぉむぅぅ!!!」
夏帆「〜〜ッ!!!」
有海の視線は夏帆の視線と重なった……もう先輩も後輩も関係なく、有海は哀しい瞳を涙で潤ませて、何かを訴えていた。
拘束されている夏帆に、助けを求めるように……。
『この!この!……上手く脱げませんなあ。このぉ!!』
有海「がッ……うぅ!?……あ"も"ぉ"ぉ"!!!」
『どれ、私も手伝いますか?それ!!……それ!!』
夏帆「あぁ!!…あ……!!」
それは完全な暴力だった。ユニホームの胸元を掴み、男が二人掛かりで力任せに引っ張り上げる……有海は悲鳴をあげながら引きずられ、床をゴロゴロと転がされた。
『おぉ、さすが小猫ちゃん。これはよく転がるなあ』
『それぃ!それぃ!!泣き声も猫そっくりだ。アハハ!!』
有海「ぶあぁ!!…げふッ……あうぅ!!」
もう上着はズリ上がり、肩や首回りに団子のように捲り上げられたというのに、男達は暴行を止めようとはせず、ユニホームを掴んでは有海を引きずり回した。
夏帆(もうやめてよ……やめてよぉ!!!)
無抵抗な有海に、男達は手を伸ばして掴み掛かり、引っ張られて伸びたユニホームを左右から引き合い、破りにかかっていた。
断末魔の叫びをあげながらユニホームは引き裂かれていき、鋼線のように硬くなった麻縄が有海の肌に食い込んでいく。
憧れの先輩、大切な〈彼女〉が、夏帆の目の前でボロボロにされていく……乱暴にポニーテールを掴まれ、蔑みの言葉を吐かれ、思い出のいっぱい詰まったユニホームが、無惨にも身体から引きはがされていく。
それは、自分の身体が弄ばれるのとは異質の痛みとなって、夏帆の心を傷付けた。