第二話――魔人と聖人と聖女の王国-45
「ん、ふぅっ!?――――パスク……」
「はい?」
ジトリと己をにらむアリスへとパスクは悪びれもせずに聞き返した。
そうなると、形勢は逆転、アリスは紅潮し、俯きがちに言う。
「その……立ってるぞ?」
「はい。ですので――」
「ですので、ってなんだ。ちょ、パスク!?うわぁっ?」
パスクはせっかくに寝台に腰掛けているのだ、とアリスを抱え上げるとそのままシーツへとダイブした。
悲鳴を上げるアリス。
しかし、ねだるように見つめられ、「仕方ない」と嘆息混じりに言った。
パスクの嬉々とした表情を見たら、アリスも嬉しくなってしまう。
――結局、二人が眠りについたのは明け方を迎えようとする頃であった。