第二話――魔人と聖人と聖女の王国-39
小慣れものだ、以前のように歯がぶつかってしまうなんてことはない。
互いの口内を下が絡み合いながら、行き来する。
そんなことをしていると、すぐにパスクは回復した。
「んっはぁ……じゃ、じゃあ……挿入れるぞ?」
アリスはこれ以上にないほど頬を真っ赤にさせ、宣言する。
――やはり、この瞬間だけは何度こなそうと緊張する。
しかし、それが……溜まらない!
「はい……あ、でも――」
「気にするな。パスクは怪我人だ、私が動いてやる。ま、任せろ!へへ平気だ、きっと……たぶん……うん、平気」
半ば、自身へと言い聞かせるようにそう言うとアリスはパスクの逸物に右手を添えた。
と、同時に左手では自身の秘所の挿入口を入りやすいように人差し指と中指で開く。
とろぉ〜、と愛液が誤魔化しきれない量、滴り、パスクの下腹部を濡らした。
顔から火が出るほどの羞恥心を覚えたが、アリスはなんとか平静を装う。
生理現象だ、生理現象!別に貴方と一日、混じ合えなかったから、欲求が募ってこうなったわけじゃないんだっ!――といった体だ。
……。心の中で思っただけで、相当、恥ずかしくなってしまった。
実際、その通りだということを気付いてしまったのだ。
「――ぅ、ん……んんっ!」
アリスは入り口にパスクの先端をあてがった。
愛液を馴染ませるように数回、腰を振って塗りつける。
パスクの先端が充分に濡れるとアリスは腰を少しずつ落としていった。
ソファーの腰掛けたパスクと向かい合って、抱き合う格好である。