第二話――魔人と聖人と聖女の王国-38
「ん、む……っ、……っ、…………ちゅぷ!」
アリスは最後にちゅ〜っ、と尿道内に残った精液をも吸い出すと口をソレから離した。
心配げに見つめるパスクをチラリと見るとアリスはこくこく、と喉を鳴らし、口内に溜まった子種を嚥下していく。
「んく、んく…………ん、こくんっ――」
目を瞑り、喉を通る愛しき男のモノを味わったアリスはその紅い唇を舌で舐めると満足気に微笑んだ。
申し訳なさそうにパスクは頭をかいた。
「そんな……呑んでいただかなくても……」
「こら、パスク。まるで、私がイヤイヤしたように言うなよ?私はやりたくてやったんだ。パスクはこう、呑んでくれた方が嬉しいのだろう?最初の時もそうだったしな」
「いや、あれは……。まぁ、嬉しいですけど……」
「ふふんっ。このムッツリめ。まぁ、だから私はきみの悦んだ顔を見たくて進んでしたんだ。だから、パスクはただ、悦べ。それが甲斐性だぞ?」
「はぁ、それじゃ――わーい?」
パスクはおどけ、ハシャいで見せた。
その様子にアリスは吹きだす。
そして、ひとしきり笑うとふと真顔に戻った。
否、真剣な表情だが、瞳は濡れ、頬は紅潮し、呼気も荒い。
――欲情しているのが自分でも分かった。
どうせ、ここで止めたところで明日の朝食の席での気まずさに大した差はない。
ならば、
「――パスク。まだ、できるな?」
「はい?……はい、もちろん」
「ふふっ…………んっ、ふぅむ……」
アリスは嬉しそうに口端を吊り上げるともう、我慢も限界だ、とパスクの首へと両腕を絡ませ、唇を押し付けた。