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『魔人』と『女聖騎士』
【ファンタジー 官能小説】

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第二話――魔人と聖人と聖女の王国-23

風防もかねているのだろう、頭全体を覆う銀兜の中から現れたのは軽鎧に身を包んだ少女だった。

年の頃は十七、八か。未だに、幼さが抜け切れていない。

艶のある闇色の頭髪をセミロングにしており、肌理の細かい白い肌に映えていた。

内心の自信と誇りを誇示するかのような切れ長の瞳、細筆で書いたかのような眉、高い鼻、血の気のない唇。

まるで絵画から飛び出したような――。



その瞬間、妙な既視感にアリスは首を捻る。

そして、その原因に気が付くとハッと見やった。

すると相手も己へと注がれる視線に気付いたようで振り返った。



「……?なにか?」



「い、いや――なんでもない。なんでもないんだ、パスク」



「……そう、ですか?」



パスクは釈然としないながらも、目前の姫騎士へと視線を戻した。

そんな中、アリスは胸中で呟いた。



(似て、いるんだ。パスクと――。同じ、聖獣を従える者だから、か?)



「――お久しぶりです。エレナ王女」



天馬の国の姫騎士――フィルの唇の間からは思ったより、低い、中性的な声色が発せられた。

エレナは旧知なのだろう、ニコニコと微笑んで返す。



「ええ、ほんとにお久しぶりですね。何年振りでしょう?」



「三年ぶり、でしたよ――確か。このたびの部下の無礼、申し訳なく思います。ペガススの王族を代表して謝罪いたします」



「そんな……頭を上げてください、フィル様。貴女がご指示なさったわけではないのでしょう?」



「も、もちろんですっ!エレナ王女のご健在と来訪の報せを聞いたのも昨晩、遅くです。その時にはすでに軍が展開しており――。天馬は夜目が聞きませんゆえ、日の出と共に立ったのですが、間に合ってよかった。危うく、ペガススは聖獣の国々を敵に回すところでした。本当に、なんとお詫びしてよいか――」



勢い込んでフィルは言った。

再度、エレナへと頭を下げる。

そして、頭を上げると今度はパスクへと目を向けた。

未だに地に膝を付いた格好のままのパスクは、それでもフィルを真っ直ぐに見つめ返す。


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