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とある街のとあるモノガタリ
【純愛 恋愛小説】

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雨の中-プロローグ-6

「ダメだよ? 手なんか出したら」

「……ウルサイ」



 『うん、ゴメンね。あたし、まだ寝ないから、ベッドで寝て良いよ』明希はそう小さく謝るとこたつに座り直し、本に目を落とした。



 こいつ、何考えてんだよ……



 カイキは不満げに思いながらも、壁に背を預け、目を閉じた。



****



 ふと目を覚ますと、いつの間にか床に寝転がっていた。その上、体には毛布が掛けられていた。明希の方を見てみれば、こたつに突っ伏した状態で寝ていた。



「バカなのか?」



 見ず知らずの赤の他人のことに構って、自分のことを疎かになっている。カイキからすれば全く意味が解らない。

カイキに掛けられていた毛布を明希に掛けると窓の外から差し込む薄明かりに気付き、部屋の端に掛けられた自分の服に手を伸ばす。



「…………まだ、行かない方が良いよ」



 後ろから掛けられた声にカイキは驚いて振り返る。寝惚けた顔のまま、明希は前髪を掻き上げながら掠れた声でそう告げると、大きく伸びをした。



「あの刑事サン、まだこの辺にいると思うから。あの時間にいたってコトは、明け方まで巡回してるよ」



 明希はゆっくりとカイキの方を見ると苦笑する。




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