龍之介・伍-3
この2ヶ月、俺に会うと必ず酒を飲んでいたが、どうにも酒癖は良くないらしい。
まだ実家にいた時は早く飲みたいと言ってたっけ。
まさか午前0時の二十歳になった瞬間に缶を開ける程、飲みたがっていたとは思わなかったが。
本人には言えないが最近下っ腹に脂肪がつき始めている。
「嫌いなわけないだろ。じゃなきゃ一緒に住まない」
「ホントに・・・お姉ちゃんの事好き?」
「・・・・・・ああ」
そうだ、まだ好きなんだ。だからこそ断れず、ここに来てしまったん・・・
「じゃあ、エッチして」
言いながら既にセーターを脱ぎ始めている。顔はピンクに染まり、白い肌も微かに赤みを帯びている。
酔いが回るとやりだすお決まりの様な行動だった。
そうだとはいえ、そのままさせる訳にもいかない。止めさせなくては。
「止めろよ、みっともないぞ姉さん」
「むう〜、別に見られたって恥ずかしくないもん。ほら見れば」
さらにスカートも下ろして下着だけの姿になった。
薄い紫で花柄がプリントされたレースのブラに包まれた乳房は、以前より少し膨らんだ気がする。
(・・・俺は、すでにこの中身の味を知ってるんだ・・・)
うっかり油断してそう思ってしまい、股間が反応してしまった。
誤魔化そうと微かに俺の足が動いたのを姉さんは見逃さず、鷲掴みにしてきた。
「ほら、やっぱり龍くんも男の子なんだぁ。ホントはお姉ちゃんとしたいくせに」
「や、やめろって。そうなったからってしたい訳じゃないぞ」
姉さんは一体何を考えてるのか分からない。
前に俺にずっと・・・色々されてたのを、忘れるはずが無いだろ。それなのに何故?
酒の勢いで感情が不安定になってるならまだ分からなくもないが、今回が初めてではないのだ。
俺がここに来る度にこうして誘ってきてるから・・・
「してよぉ・・・龍くぅん。ぎゅって、抱き締めて」
「だ、だからやめろってば。あまりふざけると家に戻るぞ」
股間を擦っていた手を胸板に添えて、真剣な表情で見つめてきた。
「・・・しなくてもいいから、傍に居て」
その眼で俺に何を訴えようとしてるんだ。
(・・・俺が、必要・・・なのか?姉さん・・・)
俺は姉さんを抱き止せ、そっと背中を撫でた。
暖房も点いていない部屋の中にいるせいか、冷えきっている。
既にテーブルにはビールの空き缶が数本転がっているにも関わらず、姉さんから温もりは感じられなかった。