枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-7
「んぅ……うぅ……」
良子が寝返りをうつ。武彦は一瞬なんだろうと思い視線を向けるが、普通に寝息を立てているだけなので、視線をおろす……が、また見てしまう。
「え?」
ブラが見えた。白いそれはフロントホック。それは外れており、覗ける面積は呼吸とともに増えていく。
――もう少し……。
良子の胸元を覗き込み、さらにシャツをずらそうとおそるおそる手を伸ばす。
ふっくらとしたおっぱいの真ん中、色素がやや濃いそれが見え始め、もう少しでというところで……、
「はぁ〜あ……」
良子は大きく伸びをすると、起き上がる。
「ふぅ、あ、武彦君、冷蔵庫から何か冷たいものを持ってきて……、君も何か飲んでいいよ……」
「は、はい……」
武彦はイタズラがばれていないことにひやひやしつつ、そそくさと台所へ行くと、冷蔵庫を開ける。
中にはビールが数本にカクテル系が数本。ナントカウォーターとあるビンがあるので、それを手に取り、コップを二つ拝借する。
「先輩、どうぞ……」
「ん、ありがと……」
良子は特に身支度を整え、彼の持ってきたビンをしげしげと見つめ「まあいいか」とグラスに注ぐ。するとフローラルな香りが部屋に溢れる。
「それじゃ、乾杯と」
「ええ、まぁ乾杯っと」
並々と注がれたそれは甘い香りがする。果実系の臭いと甘味のついたソフトドリンクの類だろうと武彦は遠慮なく煽る。
しかし、次の瞬間、口腔内にほのかに感じるアルコールのまろみに首を傾げてしまう。
「先輩、これ、なんすか?」
「何って、ウォッカ?」
「ウォッカって……」
「あはは、私酒飲みだから……」
「こんなの飲んだらって……」
驚く武彦の前で良子はぐびぐびと煽る。
「ふぅわぁ、大丈夫。結構割ってるから……」
けらけら笑う彼女。その度数はかなり低く、酔った状態でよく気付けたと不思議なほど。
「先輩、こんなの飲んだら明日起きられませんよ!」
そうでなくとも酔っ払いの介抱に付き合わされた武彦としては腹が立つわけで、きつい口調で彼女から酒を取り上げようとする。
慌てた良子は酒を一気に煽ると空のグラスを逆さにしてにっこり笑う。
「残念、もう飲んじゃいました」
「でも、これでおしまいです!」
「ぶ〜、なにそれ。なんで武彦がそんなこと決めるの?」
「なんでって、先輩酔っ払って……」
「これぐらい平気だってば。それに家なんだし、あとは寝るだけだってば……」
「でも」
「私酒強いから平気だってば」
「ならなんでさっき……」
「さっきはちょっとね……、でも、まだ飲み足りないのよ。武彦君、つきあって」
手を合わせてウインクする良子。その衣服は未だ乱れており、もう少しで乳首がみえそうに揺れる。
「とにかくだめです。もう面倒見切れません」
一瞬、流されそうになった武彦だが、なんとか理性で踏みとどまり、胸の前でばってんをつくる。
「ふうん。それじゃあさっきのことさつきちゃんに言おうかな? 武彦君がいやらしいこと考えながら、私のおっぱい見ようとしてたこと……」
「ぐぅ!」
先ほどのイタズラがばれていた。というか、タイミングよく起きたのはそのせいだろう。
「な、なんのことです? 俺は別に……」
しらばっくれようとする武彦だが、彼女はベルトも脱がされたし、パンツ見たよね?」
「うっ……」
「まぁいいじゃない、君が付き合ってくれたら黙っていてあげるよ」
「なんかずるい……」
ベルトに関してはあくまでも良子が求めたこと。もっとも、それが世の中に通じる言い訳かといえば、そうでないのは彼も承知のこと。
下心がなければそのような申し出は受けない。
それが大方の反応だろう。