枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-69
駐車場の端っこ、建物の影になる場所に二人はいた。
にやけた顔の夏雄と、眉間に皺を寄せるさつき。その理由は彼女の恰好。
エナメル質のヒールの高い靴。靴下もストッキングは無し。サイズの一回り小さい制服は、身体を少しでも曲げようなら見えてしまいそうになるが、ショーツは着用を禁止されている。
ブラウスもやはりサイズが小さく、下にあわせてノーブラのため、薄い材質もあってか乳首が透けてしまう。
「本当にするんですか?」
「ああ、ちょっと歩くだけだし、平気だ」
カーセックス、コスプレセックスを楽しむつもりの夏雄だが、都合のよい場所が見当たらない。それならいっそのこと、駐車場でと考え、さらにトラックや死角を作れそうな状況に、急遽露出を考えたのだ。
夏のおかげで身体が冷えることはない。夕暮れどきということもあり、客がにぎわう様子も無いが、たまにトイレに走るトラックの運転手がいるなど、気が抜けない。
「それじゃあ、ちょっと歩いてきてよ……」
「……わかりました……」
さつきはたいした抵抗もなく、近くのトラックへと歩み寄った……。
トラックで仮眠を取っているであろう運転手をみつけ、さつきはしばし立ち止まる。振り返ると夏雄がスカートを捲る仕草をしている。
運転手が目を覚まさないことを祈りつつ、さつきはゆっくりと制服のスカートを捲り上げる。
――うう、恥ずかしい……。なんでこんなこと……。
トラックを前にして、スカートを捲るさつき。暗がりでも白い肌と陰毛ぐらいは見えるだろう。もし、運転手が目を覚ましたら……。
さつきは目をきょろきょろと動かしながら、たまに夏雄のほうを振り返る。だが、彼は腕を組んだままだ。
やがて夏雄が振り返り、何かを拾う仕草をする。おそらくはそれをやれということなのだろう。
――どうにでもなれ!
暗がりの中、どうせ運転手も起きないだろうと腹を決めたさつきは、トラックにお尻を向けて何かを拾う仕草をする。
夕暮れ時の風が露出したお尻を撫でる。
――ん、冷たい……。
いつの間にか濡れていた割れ目をなぞられたとき、身震いしてしまう。
――なんか恐いなぁ……誰にも見つからないといいな……。
彼女の願いを汲んでなのか、振り返ったときも運転手は眠ったままだった。
――人が恥ずかしい思いしてるのに、いいきなものね……。
ひとまず夏雄の下へと戻るさつき。夏雄は満足そうな顔をしていた。
「どうだった? 興奮した?」
「恥ずかしいだけ……。全然つまんない」
「そう? 見てる分には面白かったんだけどな」
「もう、これで良いでしょ? 早く帰ろうよ!」
苛立つさつきだが、夏雄はまだ足りないらしく、別の車を指差す。
その先にはワンボックスカーがあり、中で誰かがゲームでもしているのか、明かりが見えた。すぐ近くにトラックがあるが、こちらは人影が見えない。
「あの車の前でして来い」
「ちょ、嫌です! なんで、寝てないし……危ないですよ!」
「大丈夫大丈夫! ほら、早く!」
「……くぅ……」
きっと睨むも夏雄は取り合おうとしない。先に折れたさつきはしぶしぶと指定された車へと歩く。
運転席には誰もいない。エンジンは切ってあるようで、後部座席に男の子が二人乗っているのが見えた。
中学生か小学生の兄弟だろうか、暗がりに見える容貌はおさなく、またゲームに熱中していることからも、年代がわかる。