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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-54

**――**

 前期試験、最初の日、さつきは学食へと歩いていた。
 夏雄から再び陵辱を受け、さらに行為の痕跡として写真を撮られた。
 暗い気持ちがあるにも関わらず、それでも日常を送ることができるのは、神経の一旦が麻痺しているようにも思える。
 それでも悩んでいた。このまま夏雄と言いなりになるにせよ、武彦との関係をどう清算するか。もしできるのなら、あの日に戻りたい。
 けれど、武彦と良子は? どちらから誘ったのか? 良子からならばまだ許せる。だが、武彦からならば、それは……。
 どちらにせよ、明るい未来は無い。だからといって自然消滅というわけにもいかない。彼とはサークルや講義の合間に顔を合わせることがあるのだから。
「真柴……?」
「え? あ、船岡先輩……、今日は」
「ああ、今日は」
 一礼をして去ろうとするさつきだが、克也は何か言いたそうに彼女を見ている。どこか哀れみというか、辛そうな、苦そうな表情で。
「何か用ですか?」
「ああ、用というほどじゃないんだが、いや、気になるといえばそうなるか」
「はっきり言ってください」
「ああ、わるい。その、三谷とはどういう関係なのかと思ってさ」
「三谷? 夏雄先輩とあたしがどういう関係だったら、船岡先輩に何か関係するんですか?」
 彼の口から夏雄の名前が出るのは意外、それ以上に関係を疑われていることが、意外だった。いつも気のないふりをしているどころか本当に気にかけていないはずの彼が、最初にさつきの隠したい事柄に気付いたのだから。
「いや、気になった程度さ。だが、真柴は三島の恋人だったから、なにぶんな……」
「な、それってもしかしてあたいが夏雄先輩と浮気してるって言いたいんですか?」
「そうは言わないが、ただちょっと気になって……」
「さいってえ……、なんなんですか、気になる気になるって……。あたし別に先輩の好奇心を満たすために生きてるんじゃないんですけど。はっきり言って迷惑です!」
 きっぱりと断言するのは、彼女に後ろめたいところがあるからこそ。強気なさつきの態度に克也は肩をすくめている。
「すまない、気を悪くしたのなら謝る。ただ、三谷は少し気をつけたほうがいい。アイツは……」
「先輩に心配してもらう必要なんかありません。失礼します……」
「あ、真柴……」
 一つ安心、一つ不安。克也は夏雄とのことを知っているわけではない、ただかぎつけているだけだ。
 この男の前では特に注意が必要かもしれない。武彦のようにティッシュで包むだけのつまらないカモフラージュなど即座に見破られるだろうから。
「あ、さつき……」
 さつきがその場を去ろうとしたとき、聞き覚えのある声がした。
「あ、武彦。いいところに来た。なんか船岡先輩がしつこいのよ……!」
 さつきは武彦に走り寄ると、克也を睨みながら言う。
「先輩、なんなんすか?」
 事情を察した武彦は歩調を合わせてくれる。こういうとき、共通の敵というのは便利だ。
「いや、まぁ、そうだな。武彦にも関係あるといえばそうなるんだ。その……さ」
「なんか先輩、私達の関係を心配してくれてるんだって。でも別にそんなことしてもらわなくて結構ですから。ね〜武彦」
 これからのことはどうあれ、ひとまずは仲直りをしておいたほうが良いだろう。そして、この男の疑惑をそらすためにも都合が良い。
「あ、ああ……。別に自分達、普通に付き合ってますし、何も心配してもらう必要なんてないっすよ……」
「そうか、ならいいんだが……」
 そう言いつつもどこか不完全燃焼気味な克也は、眼鏡を直すとそのまま部室棟のほうへと歩いていく。
「なにがあったの?」
 克也の姿が見えなくなったところで、武彦はさつきに声をかける。


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