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『魔人』と『女聖騎士』
【ファンタジー 官能小説】

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第一話 ―― 魔人と魔獣と魔導騎士-27

「な、なにをするんだ?」



「――複合魔法。さっきのボウヤたちのと同じね」



アリスの疑問に答えたのは足元に座る白猫の魔獣――パンだった。

ボウヤたち、というのはゲルハルトとパトリシアのことだろう。

続くアリスの問いを見越して、パンは補足する。



「複合魔法ってのは、要は二人の魔力を掛け合わせて一つの魔法を発動させるってことよ。ああっ、足し合わせるんじゃなくて、掛け合わせるんだからね。コレ、重要。

それで、魔力を掛け合わせるなんて、もちろんだけど、物凄く高度なことで普通はできやしない……でもね、この四人の師事した教師は同じで、そいつがこの魔法を研究していたのよ」



「ほう。ジーン以外の二人も同門だったのか……」



「くっくっくっ――ま、見てなさい、アリス。さっきの二人は初級の魔法を掛け合わせるのが精一杯だったけど……この二人は違うわよ?高位魔法である『黒雷』と『魔風』の複合魔法――」



喉の中で転がすように笑うパンの台詞にアリスはパスクの背中をグッと見つめた。



――魔導師でない自分でも分かる。

肌を震わす、この濃密な魔力の波動は……。



「喰らうがいい。雑兵が――」



ジーンは囁くように言った。

次の瞬間、パスクとジーンの重ねられた杖の先から魔力が突風と化し、全方位から攻め入る騎士すべてへと吹き抜けた。

直後、ゴロゴロと雷鳴が響いたかと思うと、その『魔風』に触れた騎士たちの間を紫電の奔流が駆け巡る。

しばらく続いた轟音が鳴り止むと、そこには百名ほどの騎士が黒焦げになって、大地に伏していた。



「攻撃範囲は『魔風』。性質は『黒雷』――しかも、互いにそれぞれの分担に専念できるので、威力は単身でのものとは比較になりませんよ」



パスクは振り向くとアリスへニコリと微笑んだ。

アリスが何か、気の利いたことでも答えようかと口を開いたが、パスクは続けてしまった。




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