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『魔人』と『女聖騎士』
【ファンタジー 官能小説】

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第一話 ―― 魔人と魔獣と魔導騎士-25

「パスクッ!」



「どうも――」



『魔人』パスク・テュルグレだ。

ジーンが投げ渡した魔導媒体である長杖を受け取るとクルリと片手で回し、デュッセルへと突きつけた。



「ま、魔人――」



「言ったでしょ?少し違うとっ!」



――ゴウゥンッ!



「……ぅっ、ぐふぅ…………」



先ほどよりも強大な雷鳴と共に老騎士の身体を重鎧ごと『黒雷』が貫いた。

デュッセルは身体をくの字にして、瞳孔を開き、喘ぐと仰向けに倒れる。

ドウンッ、と鋼色の重鎧が大地に沈んだ。



「――貴族でも、部下に内通されていることがあるのです。買収できたと思っていた部下に、ねェ?」



すでに絶命しただろう、デュッセルの躯へとパスクは最後にそう、言葉を添えた。



「行きますよ、アリスさんっ!」



パスクのそんな呼びかけと共に、手を引かれ、アリスの足は自然と駆け出していた。

向かうは広間の中央――エレナ王女と親衛隊の待つ場所へと、だ。

目の端で、追従して走るジーンを目にして、ようやく事態を把握するアリス。



――ジーンをデュッセルが買収することすらも計画のうちだったのだ。

いわゆる、二重スパイ。

しかし、この、圧倒的に不利な側に、そんな絶対の信頼を必要とする手が残されているとは、思いもしなかっただろう。

……待て。

もしや、これは――、




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