青かった日々〜切欠〜-6
「次の試合はいつだっけか」
「再来週の日曜」
バッティングセンターからの帰り道、三人は日の落ちた道を山乃辺へと向かい歩く。
「なれるといいね、レギュラー」
梓の言葉ににやけながら健太は頷く。このスケベ小僧が、内心で毒づいた悟史は、子ども相手にムキになるのも馬鹿なことだと悟り、ため息を吐いた。
アパートに着くまで健太は悟史に野球の質問を投げ、悟史はそれを返す。梓はその風景に、ただ微笑んでいた。
「よっ、若夫婦」
アパートの入口で明に話しかけられる。どうやら一緒に麻雀をやらないかとの誘いだったが、どうせボコボコにされるのがオチなので、自分の部屋へと戻ると告げ、その場を後にした。
階段を上がっていく音が途切れ、悟史が部屋に戻ったのを確認する。
「明さん。桜木君、野球やってたんだって」
「そうか。スポーツやってそうな感じはあったが」
「誘ってみれば?」
梓の問いに、明は「その内な」とだけ返す。
二人の会話は、窓を開けた悟史の部屋にも入っていたが、久しぶりにグローブの手入れをしていたためか、その内容までは聞き取れてはいなかった。