Last Magic-1
パタン…パタン…。
気だるそうに歩く足音が聞こえてくる。
私の鼓動も連鎖する。
ガラリと教室のドアが開く。
遅刻者は1人。
振り返らなくたってわかる。
「アズマ、20分遅刻!」
そう言いながら生徒会長の筒井くんは鋭い視線をアズマに向ける。
そんな視線に気づいてないのか無視してるのか、アズマは飄々と片手をあげる。
「おー、悪い」
全然悪そびれてない様子で私の隣へやって来る。
「また遅刻?」
「なに、ミナミ。怒ってるん?」
「…呆れてるん」
「わははっ」
どこも何も面白くないのにアズマは笑う。
その笑い声は嫌いじゃない。
高校最後の学祭で見事にクラス責任者になった私。
やたらサボるくせにお祭り騒ぎが好きなアズマは自ら立候補。
アズマときたら私がセットだと強引に役を押し付けられたのだ。
東(アズマ)と南(ミナミ)だから。
『え?ミナミちゃん?俺、アズマくん!』
『…だから?』
『南と東!』
『…全然方向ちゃうけど』
『わははっ』
2年でクラスが一緒になって、現在に至る。
あの時からなぜか東と南がセットにされてきた。
…で、話を戻すと学祭。
学祭前は各クラスの男女責任者が集まって、生徒会にいろんな申請や状況報告をする。
それに毎回遅刻してくるアズマ。
部活もしてないくせにどこで何やってるんだか。
この日もアズマが来て10分程で集会は終わった。